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(貴方side)
……はい。動きます
よくぞお分かりで
「だから使う」
『分かってるんだからね?』とでも言いたげに、彼は優しく、得意気な笑顔を浮かべる。
テレビや学校ではあまり見せない、けれど私にはよく向けてくれる、この笑顔。
……また、だ
さっきもなった、胸がきゅっと苦しめられるような初めて感じるこの感覚。
これ、なに?
無意識に服の胸辺りを握る。
「じゃ、僕今から夕飯作るから。動いちゃダメだからね?」
「……わかりましたー…」
「はい、いい子」
満足そうに頷くと、私の頭に乗っている彼の手は私の髪をくしゃくしゃと雑に撫でてくる。
……もう、いいや
「あれ、反抗しないんだ」
「今日の勇次郎には何言っても負ける気がする」
「よく分かってるじゃん。あ、A、前にライブ来てくれたときもらってたヘアゴムってどこ?」
「ヘアゴム?何するのー?」
「いいからいいから」
「ベッドサイドにあるよ」
本人の目の前で使うのはなんだか気が引けて、起きてすぐとか寝る前とか彼に見られないであろうときに使っている。
かわいくて使い勝手がいいからお気に入り。
「それ取ってきてよ」
「りょうかいですー」
定位置にあったヘアゴムを持っていき、彼に渡せば彼は私の肩を持ち、ソファーに座らせる。
何故かローテーブルには櫛が置いてある。
「痛かったら言って」
そう言い、彼は私の後ろで髪に櫛を通し始める。
……髪、いじってくれるのかな
痛さなんか全く無く、しばらくそのままでされるがままになっていると、割と早く『かんりょー』と声がかかった。
差し出された鏡に写る私の髪はお団子。
「え、お団子だ。これかわいい」
「僕がしたんだから当たり前」
「ありがと」
自然と口元が緩む。
お礼を言えば、彼は優しく再び笑う。
3度目、胸がきゅっと不快ではない苦しさを感じた。
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あーー(プロフ) - ハリネコさん» 朔藍です。宮永はまだまだ出します!他のオリキャラも(作者の気が変わらなければ(笑))これからも読んでいただけると嬉しいです!! (2022年1月26日 23時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ(プロフ) - あーーさん» やっぱ面白かったです!あ、これ私の本アカです。宮永キー人物だ…! (2022年1月26日 21時) (レス) @page34 id: 6af24d38bc (このIDを非表示/違反報告)
あーー(プロフ) - ハリネコさん» 朔藍です。ほんっとにコメントありがとうございます!最高の褒め言葉です…! (2022年1月17日 18時) (レス) @page28 id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - いや、なんかもう最高ですね( ´∀` )b (2022年1月17日 17時) (レス) @page28 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
あーー(プロフ) - ハリネコさん» こんばんは、朔藍です。4度目のコメント本っ当にありがとうございます!この作品、なんせ作者の妄想ですので!夢小説ですので!(笑)勇次郎これからも凄いかもです(笑)これからもよろしくお願いします! (2022年1月9日 0時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔藍 | 作成日時:2022年1月1日 7時