突然出会った王子様 5 【染谷勇次郎】

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(貴方side)



驚き彼の方を見ると『仕方ないなぁ』とでも言いたげに、優しく笑う彼がいた。







「これ、帰りにコンビニで見つけたから、ついでに」



「え、あ、あり、がと」



「いーえ。全部解るんだからね。ちゃんと言うこと」



「え、えぇ……」



「あ、じゃあ体育祭1つ目のお願いはこれで。『全部隠さず僕に言う』ってことで」



「ここで使うの？」



「うん。まだ二回お願い出来るから」



「え、ってことは」



「タイヤ奪い1位、混合リレー1位取りましたー」



「すご！おめでとう！」



「……Aのクラスは負けたってことだからね」



「あ"」







確かにそうだ。





これは、喜んでいい、の、か…？？







「あ、そうだ。ちょっと待ってて」







なるべく急いでキッチンに向かい、慣れた手順でココアをいれる。



今は暑いからアイスココア。



ソファーに座っている彼の隣に腰を下ろし、ガラスコップを差し出せば、驚いたのか表情が動いた。







「はい、これ」



「……ありがと。Aこそ、僕の考え分かってんじゃん」



「なんとなくね、飲みたそうだなーって」



「さっきコンビニでアイスの方は無かったんだよ。暑いのにホットしか無かった」



「ふふ」



「…え、なに」



「勇次郎が私のこと何でも解るみたいに私もちょっとは勇次郎のこと解ってたんだなぁって」







なんだか嬉しくて、自然と自分の表情が綻ぶのが分かる。



すると、何故か急にバッと視線を反らされた。







「……え、どしたの？」



「………………なんでもない」



「めちゃくちゃ溜めあったじゃん。なんでもないことないでしょ」



「だからなんでもないんだって」







一向にこっちを向く気配のない彼。



話してくれそうな様子はないけれど、なんだか気になってしまって。







「え、ちょっとA……」







いつも彼にされるように、両手で彼の頬に触れ、半ば無理矢理視線を合わせた。







「え、ね、熱ある？私の移った、の？」







彼の顔はいつもよりほんのり紅く、触れている頬は少し熱を持っている。







「な、ないって。大丈夫、元気だから」



「ほんとに？顔紅いよ、頬熱いよ？」







そう言えば、彼の顔はジワジワと更に紅くなっていく。



　

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