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いやなんでよ。なんでそこで舌打ちすんのよ。
「…………ねぇ、凛」
「あ?」
「……もしかしてだけど、今から練習行くの?」
「それ以外ねぇだろ」
「今日はゆっくりして_______
「俺は兄貴を_______糸師冴を潰す」
ポカンとすることしか出来ず何も言葉を発せない私を無視して、凛は言葉を続ける。
「その為にはこんなぬりぃことしてる場合じゃねえ」
「…え……え?冴、くんを…潰す…?」
「あぁ」
後を追うことが、私は出来なかった。
ただただ何も出来ず、凛がいなくなって病室で1人ボーッとしていた。
やっと我に返ったのは、おばさんに肩を叩かれてから。私が来たときは病院に併設されているコンビニに行っていたらしい。
わざわざ来てくれてありがとうね〜。…あら?凛は?というおばさんの疑問に、練習に行ったと答えればおばさんは深いため息を吐いた。
それから弾かれたように凛の中学に向かった。また倒れたら?誰にも気づかれなかったら?……止めなきゃ。そうなる前に止めなきゃ。今すぐには止めなくてもいい。オーバーワークになる前に止めないと。
そんな日が何日か続いた。
流石に倒れるまではいかなかったけれど明らかにオーバーワーク。凛の体は明らかに悲鳴を上げていた。
けれどあんな強く憎しみを持った瞳で潰すと言葉にした凛を止めるなんて出来なくて。
今までと変わらず、部活が終わったら凛の中学に行くという生活を送っていた。
そんなある日。
凛の中学は、部活は原則6時までだけど自主練なら学校の体育館が一般に開放されている9時くらいまでなら使っていいルール。
その日も凛はきっと遅くまで残るだろうからと部活帰りの足で中学へ向かっていた。
そうしたら。
地面に膝をつき今にも倒れそうな凛がいた。
走って駆け寄れば、しゃがんだ私を一度視界に入れると途端私に体を預ける形でパタリと意識を失った凛。
おばさんに連絡を入れて救急車を呼ばないとと、私の頭は人が倒れるのを初めて見たけれど冷静だった。
ポケットからスマホを出そうとした瞬間。
「り、ん…?」
「……なんもすんな」
気を失っていたとは思えない強い力で腕を掴まれた。
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みじゅまる。(プロフ) - こんにちは。とても素敵な作品やと思いました、自分、あまり日本語得意ではございませんが仲良くしてくださると嬉しゅうございますわ。これからもよう頑張ってくださいませ。ボードに話しかけるのは駄目でしょうかいな?。仲良くしたいです。 (6月28日 19時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - ハロネコさん» いつもありがと (2023年2月27日 18時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ハロネコ(プロフ) - すき (2023年2月27日 17時) (レス) @page13 id: 6af24d38bc (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - 乱中 久さん» 千切くんの方もこっちも読んでくださってるのですか…!!!2作とも読んでくださりコメントもくださり本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2023年2月11日 22時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
乱中 久(プロフ) - コメント遅くなりましたが、こちらの作品の更新もありがとうございます!朔藍さんの書く軽妙なやりとりがとても好きです。これからも更新見守らせていただきます。 (2023年2月11日 20時) (レス) id: e6695fc53b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔藍 | 作成日時:2023年2月2日 21時