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○
そう、なのに。
凛とは、幼馴染の関係でしかないのに。
告白自体は、初めてじゃない。
中学高校で何度かされたことがある。
その時は嬉しさはあったけど、どうやって断ったら一番いいんだろうと、断る前提の思考回路だった。
優しい言葉で断る方がいいのか、変に期待を残さないようにバッサリ断る方がいいのか。
“どうしよう”
その感情がほとんどを占めていたのに。
「おい、聞いてんのか」
これ、なんなの。
なんでこんなに顔が耳まで熱くなってんの。
なんでこんなに心臓うるさいの。
なんでこんなに“恥ずかしい”って思うの。
なんで凛の顔見れないの。
なんで。初めてすぎる。分かんない。
「き、聞いてる、から、ま、待って……ちょ、ちょっとだけ、時間、ちょうだい…」
「…なかったことにすんなよ」
「で、できるわけ、ないじゃん」
下を向いてしまいながら言えば、突然視界が青に染まった。
ドッドッドッと私の心臓に負けないくらいの強くうるさい鼓動の音が聞こえ、同時に引き寄せられている現状に、真っ白な脳内でも凛に抱き締められているのだと理解した。
「…なるべく早く返事しろ」
「わ、分かっ、た」
「弟扱いと幼馴染扱いはやめろ。“男”として見ろ」
「も、もう分かった…!分かったから…!!」
するりと離れていく体温。……なんでちょっと寂しいとか思うの。わけ分かんない。
凛が何かを言ってから部屋を出て行ったけど、なんて言ったのかすら聞こえなかった。
ドアが閉まった音がして、ズルズルとその場にしゃがみこむ。
……り、凛が…私のことを好き…?
え…?ほんとに…?
でも、あの
……凛って、あんなに身体大きかったっけ。
身長だけじゃなかった。私なんか余裕で腕の中に閉じ込められるほど大きかった。
『俺と付き合え』
『好きだから俺の女になれって意味だ』
『弟扱いと幼馴染扱いはやめろ。“男”として見ろ』
っあ〜〜〜……だめ、だ。思い出しちゃダメだ。無理。恥ずすぎる。
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みじゅまる。(プロフ) - こんにちは。とても素敵な作品やと思いました、自分、あまり日本語得意ではございませんが仲良くしてくださると嬉しゅうございますわ。これからもよう頑張ってくださいませ。ボードに話しかけるのは駄目でしょうかいな?。仲良くしたいです。 (6月28日 19時) (レス) id: 2b8d2ab93c (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - ハロネコさん» いつもありがと (2023年2月27日 18時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ハロネコ(プロフ) - すき (2023年2月27日 17時) (レス) @page13 id: 6af24d38bc (このIDを非表示/違反報告)
朔藍(プロフ) - 乱中 久さん» 千切くんの方もこっちも読んでくださってるのですか…!!!2作とも読んでくださりコメントもくださり本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2023年2月11日 22時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
乱中 久(プロフ) - コメント遅くなりましたが、こちらの作品の更新もありがとうございます!朔藍さんの書く軽妙なやりとりがとても好きです。これからも更新見守らせていただきます。 (2023年2月11日 20時) (レス) id: e6695fc53b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔藍 | 作成日時:2023年2月2日 21時