突然出会った王子様 【染谷勇次郎】

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(貴方side)





……お姉ちゃん？マジですか？



さっき突然家に入ってきた男の子が電話している相手の声がかなり漏れていて聞こえてくる。





盗み聞きかもしれないけどそこは……うん、…許してください





電話の相手に『内田さん』と言っていたり、漏れて聞こえてくる声がお姉ちゃんに似ていたり。



極めつけに電話の相手は『A』と名前を出したり、『私の妹』と言ったりしていた。



これはもう、お姉ちゃんが今目の前で電話をしている男の子の相手だと思ってほぼ間違いないだろう。





……で、なんですっけ？お姉ちゃん……同居？



全く聞いていないんですけども



初耳もいいところというほどの衝撃なんですけども



まさに、寝耳に水というやつなんですけども



そもそもこの男の子は誰……





少なくともお姉ちゃんと連絡先を交換している仲だ。



恋人、だろうか。



苗字呼び＋敬語＋甘い空気無し



この情報と、妹である私との同居を提案してきたあたりその線はうすい、だろうか。



友人か、仕事仲間とか。



でもそんな人と自分の妹を同居させようとするなんて思うだろうか。



お姉ちゃんとは結構頻繁に連絡を取り合っているし2人で遊んだりもするので新手の嫌がらせ…という線もうすいだろう。





……そこは、そうだと信じたい





なんて、一人で悶々と考える。







「はぁ、…あ、ねぇすごい突然なんだけど君は今日から僕と同居ーとか言われたらどう？」







頭上から問いが投げかけられた。





……同居、か





なんだか、考えすぎて逆に冷静になってきた気がする。



考えてみればこの状況になったのはお姉ちゃんが仕組んだからであって。



目の前で少し前の私のように訳分からないという顔をしている男の子は何一つ悪くない。



お姉ちゃんが悪いと言っているわけではないけど。



多分お姉ちゃんにも何か考えがあるのだろう。



それに私はお姉ちゃん大好き人間だ。



プラス、このアパートはお姉ちゃんの紹介ということで相場よりかなり安くしてもらっている。



だからこのアパートに関して私はお姉ちゃんに頭が上がらない。



それに多分目の前にいる男の子は引っ越しのつもりで来たのだろう。



今から今日泊まれる宿を探すのは大変そうだし、アパートから追い出すほど私の心は腐ってない。



　

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