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(R.Mside)
『内田さんが保健室に来たこと知りたいなら……あ、これ見る?』
養護教諭は手に持っているバインダーから一枚の紙を抜き取る。
染谷が書いたらしい保健室利用者リスト。
内田Aと書かれている綺麗な文字。
見覚えのある綺麗な文字。
記憶の中にある一つと、ピタリと重なった。
内田に数学の問題集を見せてもらったとき、書き込まれていた字と同じ字体。
…あのとき内田が言ってた“友達”って、染谷かよ
一緒に勉強をして教え合うほど、仲がいい、ということなのだろうか。
あー…、俺なんかより染谷の方が、内田との距離、近いんじゃん
内田を呼び出し、体育祭のときのことを謝れば
……あぁ、ほんとだ
内田、いつも笑顔だ
俺が謝り顔を上げれば、俺に気を遣わせない言葉で、俺に気を遣わせないための笑顔を浮かべている。
あー……ほんと、染谷の言う通りじゃねえか
なんでそんなに染谷は内田のことを知ってるんだよ
そう、思わざるを得なかった。
日にちが経てば経つほど
内田の視線の先には染谷が、染谷の視線の先には内田がいる。
何故か一緒に行くことになったイベントでも
内田の熱が籠る視線の先には、やっぱり染谷がいた。
ステージ上にいる染谷は、あんな大人数の中でも内田を見つけたらしく、嬉しそうに楽しそうに、俺が見たことないような笑顔を浮かべる。
この二人に、誰かが入り込める隙なんかあるわけない
更に実感してしまった。
あ、俺、完ぺき邪魔じゃん
気付いてしまった。
好きな人が俺ではない別の男と結ばれる。
分かってはいたものの、実際行動に移すとなるとなかなか勇気を出せなかった。
好きな人が好きなやつと幸せになるため、身を引く
そんな、フィクションでよくイケメンキャラがするような決断を、俺が潔く出来るとは到底思えないけど
「……内田」
「な、なに?」
寄りかかっていた柵から離れ、内田に向かって右手を差し出す。
「これから
「え、もちろんだよ」
戸惑うような表情でも即答して俺の手を握る内田。
これからは、好きな人ではなく
大切な友達として
よろしくな
友達の証のように、内田の手を握り返した。
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朔藍(プロフ) - レナナミル♪さん» お久しぶりです!番外編にて、FT4のYUIさんに登場してもらってます!口調とかが掴めていないかもしれませんが…ご了承ください…一応ご報告です!ぜひどうぞ! (2022年8月2日 20時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
あーー(プロフ) - 蒼空さん» 朔藍です。恐れ多い言葉ばかりで…!本当にありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!これからも是非こちらの作品(作者の妄想詰め込み小説笑)をよろしくお願いします! (2022年5月15日 16時) (レス) @page36 id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - 初めまして!もうキュンとニヤニヤが止まらなくてたまらずコメントさせていただきました!素敵すぎて好きすぎてやばいです!こんな話を書いてくださってありがとうございます‥!これからも応援してます! (2022年5月15日 15時) (レス) id: b8b12cd672 (このIDを非表示/違反報告)
あーー(プロフ) - ハリネコさん» 朔藍です。満点評価ぁ!ありがとうございます!!ハリネコさんのような方に読んでいただけて作者は幸せ者です… (2022年3月30日 17時) (レス) id: 7586c4e066 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ(プロフ) - 読み終わるたんびに10点評価を押して「すでに投票済みです(無効)」って書かれるのは私だけ??? (2022年3月30日 16時) (レス) @page35 id: 6af24d38bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔藍 | 作成日時:2022年3月16日 7時