猫が六匹。 ページ8
そこからの日々は辛く、苦しいものだった。
あいつらがまだ追ってきているかもしれないという恐怖から、
森の中をふらふらと、宛もなくさ迷えば、すぐにお腹が空いた。
そうは言っても、森の真ん中に突然放り出されて生きていけるような知識はない。
何日も飲まず食わずで過ごして。
何とか食べられそうなものを見つけては、構わず飲み込んで。
そんな日を繰り返した。
俺の何倍もでかいような動物に襲われ傷を負ったこともあった。
なんとか逃げたものの、自然治癒しか出来ない体に加え、
まともな治療もできないので、
大きな傷口が膿んでしまい、
発熱したりしたことは一度や二度じゃなかった。
食べるものがなく、
食べれそうなものは何でも飲み込んだので、
毒のある植物なんかを飲み込み、三日三晩苦しさにのたうち回ったこともあった。
悪運が強いのかなんなのか、死にそうになりながら、俺は生き延びて。
暑い日々を通り越して、肌寒くなってきた頃。
街の方が、まだマシに生きられるかも知れないと思い、
歩いて、歩いて、やっと森を抜けて、
村から何キロも離れた、名前しか知らないような街にでた。
それでも、
身体はボロボロ、毛は軋んで、痩せ細って汚くて。
そんな俺はどこにいっても石を投げられた。
当たり前だ。
元は真っ白い自分の毛が、茶色に染まるくらい汚いのは、
鏡を見ずとも分かっていた。
母さんが、綺麗な色だと、父さんと私の色だと何度も誉めてくれた、
青と黄色の瞳も、濁っていることだって分かっていた。
とはいっても、人間の姿に戻ったところで腹が膨れるわけもない。
こんな年齢じゃ働かせてくれるところもないし、
むしろ、どこかからものでも盗むときに顔を覚えられてしまう。
小さい猫でいる方が何倍も生きやすかった。
そしてそのまま、あの日常が去ってから、初めての冬を迎えた。
俺が生きてる必要などあるのだろうか。
悪運、というような細い糸を繋げて、
俺を生かす意地悪な神様は、
一体何を望んでいるのだろうか。
もういっそ、殺してくれと、そう嘆く自分自身の、
｢寂しい｣
と言う訴えには気づかないふりをしていた。
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海翔(プロフ) - コメントありがとうございます!!!本気で自己満でしかないものにそう言ってもらえるととっても嬉しいです!!(*´∀`) (2020年11月13日 18時) (
レス) id: 5f7ebbff92 (このIDを非表示/違反報告)
ユンソク(仮)(プロフ) - なんて言うんだろう、簡単にまとめると好き。 (2020年11月12日 0時) (レス) id: cdb5775375 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海翔 | 作成日時：2020年10月4日 10時
