猫が五匹。 ページ7
ズルズルと疲れはてた身体を引きずって遠くへ、遠くへと森の中を進む。
やっとのことで、奴らを撒き、
頭に籠っていた熱がようやく冷めて、段々と冷静になっていく。
打たれた足は、熱さを通り越し、ようやくといったように酷い痛みを訴え出していた。
母さん、母さん、は、?
耳が覚えているのは、母さんの悲鳴のような甲高い声と、それに続く銃声のみ。
分からない。
あまりにも突然で、一瞬のことすぎて、まだ理解がしきれていない。
でも、
あの村には戻れない。
あの日常は戻らない。
母さんも、幸せも、約束も、全部全部。
壊れてしまった。
それだけが分かっていて。
それだけが、確かで。
『っ…に、ゃ……っ』
脚の痛みより、失った痛みの方が大きくて。
これは全て何か悪い夢なのではないかと、
たちの悪い悪戯なのではないかと、
そんな儚い夢を願って、
小さい姿のまま、静かに涙を流した。
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海翔(プロフ) - コメントありがとうございます!!!本気で自己満でしかないものにそう言ってもらえるととっても嬉しいです!!(*´∀`) (2020年11月13日 18時) (レス) id: 5f7ebbff92 (このIDを非表示/違反報告)
ユンソク(仮)(プロフ) - なんて言うんだろう、簡単にまとめると好き。 (2020年11月12日 0時) (レス) id: cdb5775375 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海翔 | 作成日時:2020年10月4日 10時