猫が三十六匹。 ページ38
『人の知り合いはたくさんいるけど、
流石に言葉通じる人間はいなかった……。
そりゃそうだよ。』
俺、人間じゃないし。
そのまま何となく人間味のあるような黒猫ことクロが俺の隣で、話すのを聞いてやった。
クロはどうやら、町を広く歩き回っていて、
軍学校にもちょくちょく顔を出しているらしい。
猫には何も出来るまいと、基本的には寛大に接してもらえるので、軍学校での扱いは、
まるでマスコットだと言われた。
『ふーん………。軍学校ね。』
猫だったらそりゃ、簡単に侵入できるだろうけど、
俺がしたいのは入学なんだよな……。
すると、俺の相槌に何かを感じたのか、
クロが俺の手をパシパシと叩いてきた。
クロは野良だし、爪が長くて痛い。
『っなに？え、軍学校に入りたいのかって？』
クロに尋ねられたその質問。
『………入りたいよ。強くなりたいの。
でも、俺、戸籍がないし、しかも、この国の生まれじゃない、から。』
俺は、今の悩みを打ち明けてしまった。
いや、クロに何かできると期待してるわけじゃないけど、
ちょっとだけ誰かに話を聞いてほしかったのかもしれない。
『戸籍がなくて、親もいなくて、家もなくて。
身元不明の意味わかんないやつを誰が軍学校に入れてくれると思う？』
まぁ所詮、愚痴みたいなものだ。
俺が顔をしかめてそう言えば、
クロはうーんと唸った後、一言、言った。
｢………そんなところが、無いわけじゃない。｣
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海翔(プロフ) - コメントありがとうございます!!!本気で自己満でしかないものにそう言ってもらえるととっても嬉しいです!!(*´∀`) (2020年11月13日 18時) (
レス) id: 5f7ebbff92 (このIDを非表示/違反報告)
ユンソク(仮)(プロフ) - なんて言うんだろう、簡単にまとめると好き。 (2020年11月12日 0時) (レス) id: cdb5775375 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海翔 | 作成日時：2020年10月4日 10時
