猫が三十匹。 ページ32
大きい。
そんな、適当な単語しか頭に出てこない。
唯一と言っていたから、シャオロンも此処にいるのだろうか。
そんなことを考えれば、
エーミールさんが隣で言葉を発した。
em｢………軍学校、入りたいんですか？｣
『え？』
多分、俺がずっと眺めていたからだろう、そんなことを言われる。
力がほしい。
そのためには、軍学校、に入る必要がある。
だから、エーミールさんの言葉を否定することが出来ず、
俺は唇をきゅっと噛んだ。
em｢この国の国民であれば、入ることができますよ。
若すぎるとあれですが、貴方くらいなら多分。｣
エーミールさんはそれを肯定と受け取ったのか、そう言ってふわりと笑う。
『あ、そ、うなんですね。』
それにつられてへらりと笑い返せば、
｢はい。｣だなんて、柔らかい返事が返ってくる。
………国民、か。
残念なことに俺はこの国の国民ではない。
この国の戸籍は持っていない。
いや、それ以前に多分、戸籍を持っていない。
俺の母さんは獣人だ。
多分、父さんも。
その前はどうだったか知らないが、差別が酷いこの世の中で、
獣人が人としての戸籍を持っている方がおかしいだろう。
つまり俺は、この国は愚か、
他国でも、軍学校に所属することは出来ない。
そんなことに気づいてしまった。
戸籍を偽造する？
そんな力、俺にはない。
ここでもまた、力が足りない。
何もなくて、前に進める未来が見えない自分に腹が立って、悔しくて。
ぎゅっと手に爪を立てた。
em｢………あの、軍学校内部には入れることが出来ないので、少しだけ、待っていてもらえますか？｣
すると、そうエーミールさんに話しかけられる。
その言葉に、俺が此処に来た理由を思い出した。
そうだ。髪と目の色を変えるため。
『分かりました。』
とりあえず、そんな思いを今は振り払い、
エーミールさんの言葉に頷いた。
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海翔(プロフ) - コメントありがとうございます!!!本気で自己満でしかないものにそう言ってもらえるととっても嬉しいです!!(*´∀`) (2020年11月13日 18時) (
レス) id: 5f7ebbff92 (このIDを非表示/違反報告)
ユンソク(仮)(プロフ) - なんて言うんだろう、簡単にまとめると好き。 (2020年11月12日 0時) (レス) id: cdb5775375 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海翔 | 作成日時：2020年10月4日 10時
