猫が一匹。 ページ3
『自分が獣人であることは、誰にも言ってはいけない。』
その誓いが壊されたのは、俺の十三歳の誕生日の翌日だった。
いつもの朝。
つい昨日十三歳を迎えたからと言って、特に変わりのない同じ朝。
天気も良く、小鳥の鳴いている声で目が覚めた。
俺の家は村から外れた森の少し手前にあるから、小鳥たちが近くで鳴いてくれる。
俺はそのさえずりが心地よくて好きだった。
少しだけ開いていた窓から、そよそよと暖かい春風が入ってきていて、
ふわふわカーテンが揺れているのが視界に入る。
朝だ。
頭で理解すると、
暖かい布団から起き上がるのを拒否する体を叱咤し、
ガバリと勢い良く体を起こした。
ぐぐっと身体を伸ばし、
また眠ってしまわないうちに、ベットから下りる。
もう春とはいえ三月はまだ肌寒くて、
フローリングの床は裸足には冷たい温度だ。
ふわぁ、と口から飛び出そうとする欠伸を堪え、
クローゼットについている鏡を見て、簡単に寝癖を撫でる。
そのまま、クローゼットを開けて、適当な服を身に付け、
足を暖めるための靴下をはき、
昨日脱ぎ捨てたスリッパを引っかけて部屋の扉を開けた。
キシキシと小さく軋むような階段を下りていけば、
先の横のキッチンで、何やら料理をしている母さんの背中が見えてくる。
『母さん、おはよう。』
母さんの背中にそう声をかければ、
くるりと振り返り、
いつものようにそのキラキラの琥珀色の目に俺を写して、
ふわりと笑顔を向けてくれる母さん。
「おはよう、A。朝御飯はもう少し待っててね。」
その言葉と笑顔に何となく安心感を覚えながら頷き、
顔でも洗って、朝の支度を済ませてこようと、
キッチンから出て洗面所に向かおうとした。
そう。いつもの朝だった。
大好きな母さんがいる、十三歳になったばかりの眩しい朝。
ﾀﾞｧﾝｯｯｯ!!!ﾀﾞｧﾝｯｯｯ!!!!
それを壊したのは、鳴り響いた銃の音だった。
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海翔(プロフ) - コメントありがとうございます!!!本気で自己満でしかないものにそう言ってもらえるととっても嬉しいです!!(*´∀`) (2020年11月13日 18時) (
レス) id: 5f7ebbff92 (このIDを非表示/違反報告)
ユンソク(仮)(プロフ) - なんて言うんだろう、簡単にまとめると好き。 (2020年11月12日 0時) (レス) id: cdb5775375 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海翔 | 作成日時：2020年10月4日 10時
