底辺妖怪の少女は

29話 ページ32

オロチ「何の用だ？」



しばらく黙ってついて行くと、そう聞かれる。



『助けてくれたお礼がしたいです。』



オロチ「結構だ。」



…即答ですか。



これはアレだな。



私、オロチさんに嫌われてるパターンだ。



『嫌です。お礼しないと気が済みません。』



オロチ「私が勝手にやったことだと言ったはずだ。」



『それでも嫌です。』



私がそこまで言うと、私の方を見るオロチさん。



…右目は髪で隠れてるし、口元は龍のマフラーで隠れている。



それでも分かるくらい綺麗な顔をしていて…



オロチ「なら………」



そこまで言って黙り込む。



…一体何を言おうとしたんだろう。



オロチ「…お前にしてもらうことはない。」



…そんなに拒否されると、さすがに悲しいな。



『私、あなたに嫌われるようなことしましたか？』



一人で勝手にもやついてても始まらないから、



とりあえず聞いてみることにした。



オロチ「嫌ってるんじゃない。」



『じゃあどうしてそこまで拒否するんですか？』



オロチ「…それは…、」



…この人、言葉の途中で黙るのが好きなのかな。



『…何でそこまで嫌われないといけないんですか。』



どれだけ信じないって思っていても、嫌われるのは別だ。



…誰かに嫌われるのは…とても心が痛い…。



辛くて…悲しくて…



『っ…、』



泣きそうになってしまう。



オロチ「っ」



ギュッ



…え？









＊

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