底辺妖怪の少女は

11話 ページ14

『…大ガマさん。』



…声の主は、本家大将の大ガマさんだった。



大ガマ「まさかまたこの木に桜が咲くなんてな。」



私この人好きじゃないんだよね。



…ていうか、基本的にＳランクは嫌い。



大ガマ「お前、何か知ってるか？咲いてる理由とか。」



いやまぁ私が咲かせたんで。



…とは言わないけどね。



なるべく関わりたくないし。



『さあ。』



桜の木から手を放し、逃げるようにして大ガマさんからも離れる。



『それでは。』



帰ろう。



…誰かと関わって、傷つくのは…もう嫌だ。



大ガマ「…これじゃ…もう、どうしようもねぇな。」



…とても低い声が聞こえた。



その声は紛れもなく、大ガマさんの声で。



…普段お調子者の彼から出たとは思えないくらい、とても低く…



…怖い声だった。



『どういうことですか？』



そんな大ガマさんの視線の先には、桜の木。



…今の言葉は…桜の咲いているこの木に向かって発したんだ。



…桜の木が…怯えてる。



大ガマ「…何でもねぇよ！」



そう言ってニカッと笑う大ガマさん。



…今の言葉は、絶対に嘘だ。



『傷つけないでくださいね。』



大ガマ「何を？」



『この桜の木を。』



大ガマ「…。」



『…この木を、大切に思う人を。』



エンマと名乗った彼は…この桜の木を大切に思っている。



それが分かったから…私は…。



『…さようなら。』



早く帰ろう。



…こんな気持ち、忘れよう。









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大ガマ「っ…オレだって…」









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