【HQ】You and Me【短編集】

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我儘を言う子供のような顔。
私は思わず押し黙った。





「同じ日に死ぬには俺とAさんは同等やないと。Aさんが喫煙者なんやったら俺もそうならな。」


「煙草はまずいんでしょ?」


「せや。だから俺はアンタの中から有害物質を半分貰う。」




意味不明、頭を抱えた。そんなんどうやってやるのよ。無理に決まってんでしょ、馬鹿じゃないの。

そんな風に吐き捨ててやろうと思った。



なのに宮があんまり真剣な顔をするから、私はやっぱり口を閉じてしまう。




「その為の、キスやん。

煙草を吸ったらAさんと俺はキスをする。そうやって俺の体の中にもどんどん有害物質溜め込んで、二人仲良く肺真っ黒にして、死ぬ時は一緒で、な。」




それは毒々しい誘い文句。或いはプロポーズ?
そして二人が幸せになる魔法の言葉。

あと、私を縛る、一生単位のお約束。





「ロマンチックさが足りん。」

「喫煙者がよく言う。」

「そんで、そんな私に大事な苗字を渡そうとしとるアンタは大馬鹿。」

「あは、せやな。」




いつの間にか床に落ちて割れた灰皿からは、未だに煙草の匂いが立ち込めている。

そして、宮にも私とおそろいの匂いが染み付くことを心の奥で密かに祈った。





fin.

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