Hug me !!【北 信介】

Hug me.32 ページ34

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「次の方ー。」


面倒な絡みをしてくるアツムサンは永谷先輩を見るなりそっちに行ってしまったのでよしとする。

次にレジの前に来たのはアツムサンと同じ顔の人。宮兄弟の片割れのオサムサン。有名人らしく色んなところでこの名を耳にするので、物覚えの悪い私も覚えてしまった人の1人である。



バーコードリーダーからピッと言う音が鳴ったのは12回。そして買ったものの全てが菓子パンやらおにぎりやらの食べ物。
双子の癖に全然買うものの内容が違うんだなぁ。てかめちゃくちゃ食べるなぁ。なのになんでこんなに痩せてるんやろ、腹立つ。



「今失礼なこと思わんかった?」


「ギクリ。」


「自分、ようわかり易いって言われん?」


「...全部で1300円になりマース。」




営業スマイルが引き攣る。やっぱ双子って似るんやな。
でもアツムサンと違って会計が終わってからも長居せんところは助かる。




「どうも。」

「ど、どうも?」



次にやって来たのは切れ長の目をお持ちの前髪センター分けの人。当然ペコリと頭を下げられて少し戸惑った。もしかして知り合い?私が覚えてないだけで。



「初対面だよ。」


「うえええええすぱーや!!!」



バレー部エスパー多くない?いやちゃう、私がわかり易いだけやった。



「あはは、噂のまんまだね。面白い。」


「あ、ありがとうございます?」



ていうか全然笑ってないじゃん。こわ。
しかも噂ってなに。誰に噂されてんの??こわ。
あとなんで標準語なの?まさかシティーボーイ?こわ。



「角名って言います。覚えなくてもいいよ。」


「はぁ...スナサン...スナ...スナクン...?」


「めっちゃ新種のポケモンみたいに人の名前呼ぶね。」




そのセリフ通算何回言われてんだろ。だって私馬鹿だから漢字が出てこないんだもんしょうがないじゃん...
ていうかなんかスナクンって聞いたことあるんだよね。誰かがよく話をしているような...



「あーー!!スナクン!!!こっちゃんと仲のええ人や!!!」


「いや仲良くないけどね。」



こっちゃんというワードを聞くなり顔を顰めたスナクンを私は見逃さなかった。

これは、弱味握ったんでは??


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