ただ・・・好きなだけ。 (ページ6)

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四ノ宮那月ページ6

不気味な音楽が流れる中、私は彼と二人で真っ暗な廊下を懐中電灯を持って歩いていく。

「ねえ、那月。やっぱりリタイアしようよ。怖いよ…」

久しぶりの彼とのデートということで、新しくできたお化け屋敷に入ってみたはいいものの、入場約１分。

「ぎゃああああああああで、で、で、でた――――――！！」

さっそく叫んでおります。はい。女子力のかけらもない叫び。

これだから、お化け屋敷嫌だったのに・・・心の中でグチグチとつぶやく私。

それとは裏腹に那月は、

「あぁー！Aさん。見てください。可愛らしいお人形さんがいーっぱいつくえのうえにおいてあります。でも、おかしいですね・・・。なんで首より上がないんでしょうか…？」

いつも通りのほわほわモード。

私はこれを見ていつも思う。

私の彼氏は、女子力が高すぎると…そして、那月くんよ。それお人形じゃなくて生首だから！生首だから！

そして彼のペースにつき合わされること、３０分後。

「つ、疲れたー。」

やっと外に出ることができた。なんかやつれた気がする。でも、彼はまだ幼い子供のようにはしゃいでいて、少し母性本能をくすぐられるような・・・

なんて、またぶっつくさと一人で考えていると、急に彼が振り返って…

「Aさん！次は何にのりましょう？やっぱりジェットコースターですか？って、すごい疲れた顔してますよ！」

彼は少し慌てたような声で私に言った。

「えっ？そ、そうかな。」

あくまでも那月に今日は楽しんでほしいので、私はごまかした。

「ごまかしたってダメです。少し休みましょうか。」

そう言って彼は、私をベンチへエスコートしてくれた。

「那月。いいの？」
私は、とても申し訳なく感じた。

「はい、大丈夫です。それにこうなったのも、私の責任でもありますし。こうしてベンチでAさんと過ごす時間もまた、どんな乗り物よりも１番に楽しいです。だから、気にしないでゆっくり休んでくださいね。ずーっと隣にいますから。」

彼はそういう恥ずかしいことをあたり前のように言うから、どんどん私が堕落する。

別に嫌ではないが。

そんな私は十分にⅯなのかもしれない。←