保健室の眠り王子

挑発王子 ページ10

惑わされる。


ただ寝ているだけなのに、この美しい顔を見ているだけなのに…私は…。



「…ヘンタイさんさぁ、今自分がどんな顔してるか分かるか?」



目を開けた王子様は、私を見ると妖艶な笑みを浮かべる…自分がどんな顔をしてるか?そんなの分かる訳ない。



「すげー真っ赤でね、林檎みたいで美味そうなの。」



「………っ…。」



王子様の白い手が、私の頰に触れる…ヒンヤリしていて気持ちが良い、私は思わず先輩の手に擦りよった。


また、【ヘンタイ】呼ばわりされてしまいそうだけど…それもこれも、全部この人が悪い。



「撫でられんの、好き?擦りよってきてさ…猫みたいなんだけど。」



「………好きと言うか…。」



分からない。


単純に撫でられるのが好きなのか、それとも王子様の手で撫でられるのが好きなのか…どう言えば良いんだろう?


だけど、これだけは分かる。



「落ち着くんです…凄く。」



この台詞を言った後、一気に恥ずかしさ込み上げて来た…私は自分の顔が更に熱を帯びたのを感じると、俯いて相手に見えないようにする。



「…あのさ、ヘンタイの癖にそんな顔すんなよなぁ。」



「…………え?」



俯いていた顔を上げて、目の前の相手を見てみる…王子様がどんな顔をしているのか、少し気になった。




––ま、真っ赤になっている…。




王子様の顔が、林檎みたいに真っ赤。



「……か、可愛すぎます!…先輩。」

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