井田くんの初恋日記 (ページ2)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:34,684 hit

□11 ページ2

.

Aさんに告白した昨日の帰り道。

連絡先を交換して、その日あった出来事を話して⋯⋯。

俺の隣を歩く彼女のサラサラの髪が風に吹かれるたび
いい香りがして、すごくドキドキした。

白色のマフラーに寒そうに顔を埋める姿も
友達のことを嬉しそうに話す姿も
見ていて飽きないし、とても愛おしく思えた。

彼女を家に送ったあと、自分ん家で食べたクッキーも
すごく美味しかった。

感想をメールで送ろうとしたけど⋯⋯

｢⋯⋯こういうのは、直接言った方がいいよな｣

.

.

翌朝。一人で学校に向かっていると
少し前をAさんが友達と歩いているのを見つけた。

こういうとき、すぐに彼女を見つけられるのは
“好き”⋯⋯だからなんだろうな。

｢おはよー、井田！｣

｢⋯⋯相多｣

突然後ろから肩を組まれ、視線を横に向けると
相多がニヤついた表情で俺を見ていた。

｢井田、お前頬ゆるゆるだぞ？
さては、Aさんのこと見てたな〜｣

｢え⋯⋯｣

頬、緩んでたか⋯⋯？全く自覚してなかった。

｢で、昨日はどうだった？上手くいったか？｣

｢上手くいったもなにも⋯相多、お前嘘ついただろ。
“Aさんが好きな人に告白する”なんて｣

｢それは俺なりの手助けだよ。
こうでもしないと、お前らなかなか進展しないだろ？｣

⋯⋯確かに相多のあの言葉がなかったら
俺はAさんに告白できてなかっただろうな。

｢そうだな。相多のおかげで自分の気持ちを伝えられた。
ありがとな｣

｢いやいや、それほどでもって⋯⋯え？
お、お前ら⋯⋯まさか⋯⋯｣

｢ああ。付き合うことになったよ、俺とAさん｣

そう告げた次の瞬間、相多の叫び声が通学路に響いた。

.