冷たい夫婦

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榎本さんを自宅のマンションまで送り私は警視庁に戻った。目暮から連絡が来て、加害者が黙秘していると書かれていた。まぁ、陣平の事だからイライラしてきてるんじゃないだろうか。




案の定陣平はイライラしていたようで目がギラギラしていた。


「松田代わるから。」


「チッ。」


軽い舌打ちをした後椅子から立ち部屋の角で腕組みをし壁にもたれながらこちらを見ている陣平、なんか絵になるのよね……。




「捜査一課の石崎Aと申します。事情をお伺いしても？」



黙秘、駄目か……どうしよう。



「貴方はこれから誰とも口を利かないつもりなの？それならそれで良い。でも何も話さなければ貴方は事情をこちら側に理解してもらう事なく警察官に捕まった。という事になるけど問題ない？」




一息に言えばおずおずと口を開いた加害者。よっしゃ、事情聴取に必要なのは根気と話術。相手を思うように揺さぶらないといけない。




「俺は……仕事がうまくいかなくて。イライラしてる時に女がよってきたからムカついて……気がついたら相手の女は死んでたんだ。でも段々辞められなくなっちまって……。」




次第に大きくなっていく声、加害者は興奮しているのかとてつもなく不気味な笑いを浮かべていた。しかし、加害者の話を聴く限り今日の出来事を話している訳ではなさそうだ。なら一体何の……。!私の頭には一つの仮説が浮かび上がった。



「名前を教えて頂けますか？」


「如月育」




思っていた通り、連続殺人事件の容疑者の候補となった『キサラギ』の苗字と一致した加害者の名前。詰まり、この男如月育は連続殺人事件の犯人ということになる。





「如月育、貴方を連続殺人の容疑で逮捕します。」






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