彼氏.旦那が…【実|況|者】

拍子【aik】※まめみん/奏様リク ページ36

.



話をしない私たち。



隣に座る男性が物静かなこともあって、
これが日常であったりする。




「アイクさん」



『ん？』




前回のともさんとこの動画面白かったよ。
特にわとさんとの絡みがね。



そう告げると、


『そっか。』





その笑顔には、わとさんと絡めたことへの
嬉しさが入り混じっているように見えた。









喋らない。反応が薄い。地味。





高校に入った頃の最初の印象は、

この三拍子だったことを記憶している。






しかし、偶然っていうものはあるようで、
隣の席になったことがきっかけで



よく話をするようになった。








最初に呼び始めた





アイクさん








その呼び方を未だに引きずっている。







ちゃっかりな彼氏の方は、

名字呼びからそのうち徐々に
私との距離を詰め始め、




今では名前を呼び捨てだ。




まぁ、それが普通なのだろう。







『ゲームしようかな。』



そう言って、大画面に高画質なFPS系の
ゲームが流れ始める。






個々に好きなことをするスタンスは
ずっと変わらない。







ゲーム音と
コントローラーのカチカチっという音。









『あ、そうだ、A。』





「ん？」









『結婚しようよ。』








「…はい？」




突拍子も無いアイクさんの言葉に
衝撃が走る。





私にプロポーズをしたであろう彼は、
ゲーム画面を見たまんまだ。







思考回路がショート中な私。





有名なアニメの曲の一節に

思考回路はショート寸前
今すぐ会いたいの。


って歌詞があったっけ。





あぁ、私は寸前じゃなくて
もうショートしている。









「ちょっと、自分の言ったことわかってる？」



『え、うん。』





あ、A、机の上見てきてよ。




そう言うから、ダイニングテーブルを見れば




アイクさんの名字名前が書かれハンコが押された

あの有名な茶色の縁の用紙が置かれている。





おいおい、どこまでちゃっかりなんだ。




「私が書けば、提出できますよってか。」


『うん、そう。』



ね？断りづらいでしょ？




意地悪な顔をしてそう言う彼。

ちゃっかり王子め。









こんなの、アイクさんが思う通りの
とんとん拍子というやつではないか。






(名前書かないの？)
(え、か、書くよ。)
(緊張してる？)
(そりゃするでしょうよ！)

フジの気持ちを知ろう【fj】→←強要【rtrt】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す