彼氏.旦那が…【実|況|者】

言えない、言えないよ。【ky】 ページ34

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《好き》








今まで適当にそんな言葉を言ってきた。



本当に好きじゃなかったから。



適当にそう言っておけば、
なんとかなる、世界だったから。







でも、本気で人を好きになると
そんなことも言えねぇもんなんだ、







そう最近知ることができた。





『おい、キヨ、やめろ。』



板書を写しながらも、

隣の女に消しカスを投げる。




毎回怒ってくれる。


毎回反応してくれる。




最初はすげえ面白いやつだって思った。







もー最悪ー



そう言いながら、長い髪を解く姿。


それが妙に色気があった。






そんなところに惹かれてしまって、


小学生の男子みたいに








Aの気を引きたくて、



そんな気持ちから


ちょっかいをかける。








「消しカスついてる方が似合ってんぞ。」




『ばか。』





今日も長い髪を解き始める。





あー、素敵だなぁ、綺麗だな。




そう思い見とれてしまう。









『キヨ、何？』





「いや…なんも。」









あぁ、今日も言えなかった。





その髪、良いよな。

お前のこと好きだわ、とか。







昔までは思ってなくても
そんなこと言えたんだけどな。






はぁ、と一つため息をつけば





『なに？具合でも悪いんじゃないの？』


そう言って、じっと顔を見つめられる。




やめろやめろやめろ。
恥ずかしすぎるからやめろ。




「大丈夫だから。」


プイッと他のところを向けば、
また顔を引き戻される。



『だーめ！』



そう言って、額に手を合わせられる。





「熱なんてねぇよ。」



『うん、なかったわ。』








なんでこいつこんなに
俺に優しくすんだよ、



カン違いさせんなこの野郎。








まぁ、そんなAの優しいところも
好きになったんだけども。






まぁ、好きなんて

言えてねぇけども。






言えてねぇ、の方が合ってんのかな。






そのうち伝えないとなぁ、
そう思いながら、今日も1日が過ぎていった。

強要【rtrt】→←僕のシャツ【P.-.P】※たわこ様リク

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