秘密26 ページ26
.
「…遅いなぁ。」
俺が少しソワソワするのは
Aの帰りが少し遅いと感じたから。
『ただいまー。』
聞こえた声の方向に引き寄せられるように
走って向かう。
「おかえり。」
歯を出して、ニッと笑ったら、
それにつられてAも笑った。
「思ってたより、遅かった。」
『心配してた？』
「…別に。」
別に、心配してたよ。
矛盾した言葉とともに、体を引き寄せた。
『…心配してたんじゃん。』
「うるせ。」
パッとAの手が離れたから
体を離した。
『あのね、』
「うん？」
Aが離し出したから、
なんの話かな、今日の話かな、って。
『刻さんに、会ったの。』
「おー、そっか。」
最近注目していた相手に会ったから
嬉しいのかな、そう思ったのに
少しくらい顔をする。
.
「…なんか、あった？」
『…え？』
「…いや、なんか、暗い顔してっから。」
少しの沈黙。
Aの顔を見ても、目を合わせてくれなくて。
なんか隠してるって、勘付いた。
.
『…刻さんは、キヨくんが憧れの人みたい。』
「…なんだ、そんなことかよ。」
憧れ、そう言われることに悪い気はしない。
むしろいい気しかしない。
『…好きって、』
Aの珍しく小さい声に
耳を近づけた。
「ん？」
『…好きって、言うから。』
好き、その言葉に驚いた。
その拍子に、
「は？」
なんて言葉。
.
『刻さん、キヨくんのことを
好きって言ってたの。』
「…まじか。」
『…その好きがね、どんな意味なのか
わかんなくて、その、』
あぁ、それでお前はいい気がしなかった、と。
そういうことだな。
『…な、なにニヤニヤしてんの！』
眉間にしわを寄せるAとは相反して、
頬が緩みっぱなしの俺。
俺の頬をパチンッと軽く叩く。
「うわ、痛っ！」
『…私がこんなに悩んでるのに…！』
「ごめんごめん。」
笑って、Aの腕を引いた。
すっぽり収まるAは
抵抗することなく。
『…もう。」
.
怒ってるのにかわいいなんて言ったら
もっと怒っちまうんだろうな。
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桜田(プロフ) - amincoさん» コメありがとうございます！まだまだ話は長くなりそうですので、お付き合いお願い致します！また他の作品もお気に召すようなもの御座いましたら閲覧お願い致します^o^！ (2018年3月28日 21時) (
レス) id: 20ab6aeafe (このIDを非表示/違反報告)
aminco(プロフ) - わあああ続きすごい気になります!!!!面白い話にすごい引き込まれました！続き楽しみにしてます´`* (2018年3月28日 4時) (レス) id: e5fb097b78 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ_ky@crew(プロフ) - 桜田さん» なんか、すみません;;ありがとうございます!!! (2016年11月11日 22時) (レス) id: b17a4dcc16 (このIDを非表示/違反報告)
桜田(プロフ) - 碧宮さん» コメありがとうございます！ご期待に添えるよう頑張ります！ (2016年11月11日 17時) (レス) id: 20ab6aeafe (このIDを非表示/違反報告)
碧宮(プロフ) - 短編集から好きになって作品を見させてもらってます！このお話も続きがすごく楽しみです、応援してます！ (2016年11月11日 17時) (レス) id: c8ceba56bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜田さっちん。 | 作成日時：2016年11月10日 22時
