winter142 涙雨 ページ45
★オビside
オビ「A」
本当はずっと前から、こう呼んでみたかったんだよ。
だけど今さら気恥ずかしくて、
どのタイミングで呼び捨てにすればいいかわからなくて。
オビ「こんなダメ男でごめんね」
あんたは本当に幸せだった？
胸に沸いた問いは、すぐさま消えていった。
その答えは、目の前にいる彼女自身が物語っていたから。
オビ「こんなに穏やかできれいな死に顔、見たことないや」
花に囲まれている彼女は、まるでミレーのオフィーリアのよう。
額にキスを落とす。
オビ「…？」
すると次の瞬間、Aの心臓部から芽が出てきた。
それはたちまち蕾を実らせると、ゆっくりと花開く。
オビ「！」
それは＿＿＿＿
＿＿言葉では言い表せないほどの美しさだった
一切の穢れのない純白。
俺の掌よりも小さいのに、凛として咲いている。
こんなにも美しいものが
この世界に存在していいのか…
まるで彼女そのものだ。
オビ「……っ…A…」
涙が止まらなかった。
一瞬、彼女の笑顔が見えた気がした。
ポツ…っ……ポツ…っ
オビ「？」
ザアアアァア……
オビ「雨…」
あっという間に水たまりを作って激しく降り続ける、
滝のような、悲しい雨。
オビ「あんたも、泣いてるのかい？」
彼女を草の上に寝かせて、もう温かくない手を握りながら問う。
まだ、伝えたいことも
一緒にやりたいこともいっぱいあったのになあ。
オビ「…ハハっ…あんたが泣いてると思うと…俺…」
＿＿＿＿＿ザアァァアアァ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ザアアアァァアア＿＿＿＿＿
＿＿＿ザアアアァァアアァア＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
ザアアァァァアアアアァ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
オビ「……っ…」
喉の奥からせり上がってくる
悲しみをどうにかしたくて、
空っぽになってしまった胸の内を埋めたくて、
俺は空に向かって叫んだ。
オビ「＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」
嗚咽と、叫びと、悲しみは
天から降る君の“涙雨”にかき消された。
・
winter143 遺したもの→←winter141 ありがとう、ありがとう
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
