winter135 刻一刻と ページ38
☆Aside
何日かかけて、クラリネスに到着した。
馬車から降りた途端、冷気が私たちを包む。
一面、真っ白な銀世界だった。
ふわふわな雪に指を触れると、
体の芯までカチコチに凍り付きそうだった。
『みんな、私に付き合ってくれてありがとう。
父上も母上も嬉しそうだった』
白雪「私たちの方こそ、Aのご両親に会えて本当に良かったよ」
木々「とても暖かい国だった」
ミツ「ああ、そうだな」
皆の言葉が嬉しかった。
なんてったって、私の自慢の家族と、帰るべき場所だもの。
『ホントに、ありがとう。
今日はゆっくり休んでね、おやすみ』
おやすみ！と各々城の中へ入っていく中、
一匹の猫と私だけが残された。
少し外で話さない？と声をかけると、
お手をどうぞ、といつかのように手を差し出してきた。
二人して仲良く手を繋いで、東屋にやってくる。
凍えそうな寒さだ。
だけど、この冷たさが今は心地よい。
自分がまだ生きていると実感することができるから。
『オビ……あのね』
握りしめた掌から感じる熱。
それを愛おしく思いながら告げる。
『私もう………長くないみたい。
きっと春を迎える前に旅立つ…そんな気がするの』
できるだけ明るい口調で言ったつもりだったが、
かえってそれが彼を傷つけたみたいだ。
オビ「…っ」
金色の瞳が揺れた。
手を握りしめる力が強くなる。
オビ「そんな……っ」
『だから……オビ。
あと少しだけ、あなたの時間を私にちょうだい？
“その時”が来るまで、ずっとそばにいてほしいの…』
きっと…いや、絶対に一人では耐えられない。
オビのぬくもりがなかったら、
狂って、狂って、自分を見失ってしまう。
オビ「もちろん、俺は永遠にあんたのそばにいるよ。
あの日誓っただろ？」
『…！』
いつだったか、彼は本物の王子様のようにひざまずいて、
いつでも手を繋げるところにいると誓ってくれた。
『覚えていたの？』
オビ「A嬢と交わした会話はすべて頭の中に…」
あんたと過ごした時間すべてが宝物なんだ、
って優しく笑うオビに、思わず泣きそうになる。
『フフ…それじゃあ、明日からまたよろしくね』
オビ「笑いすぎて頬の筋肉がおかしくなるくらい、
楽しい日々にしてみせますよ」
・
winter136 勿忘草→←winter134 また会えると信じて
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
