autumn111 ボロボロの王女様 ページ14
★オビside
振り返らなくても、声だけでわかる。
……A嬢だ。
その瞬間、全身から力が抜けて、腕がだらんと落ちた。
男「……ひっ」
男は怯えた表情をしながら逃げていった。
途端に視界がクリアになって、後悔の念が押し寄せる。
…俺は、何をやっているんだ。
『オビ……もういいの。
私は大丈夫だよ。
あなたが力を振るって相手を傷つける必要なんてない。
自分が傷つく必要もない』
背中から、荒い息づかいが聞こえる。
こんなに激しい戦闘の中を、たった1人で駆けて俺のところまで来たんだ。
＿＿＿＿＿＿＿どんなに、怖かっただろう
オビ「……A＿＿＿＿＿＿＿」
「「「海の鉤爪が落ちたぞぉぉおおおぉぉお！！」」」
と、その時。
衛兵たちの大声が洞窟に木霊した。
海の鉤爪の頭領である、ウミヘビという女が捕まったのだろう。
オビ「……A嬢」
ゆっくり振り返って、ずっと会いたかったその姿を目に映す。
髪はぼさぼさ、体も顔も傷だらけ。
でも、醜くなんてなかった。綺麗だった。
どんなにボロボロでも、彼女は美しかった。
オビ「…ごめん。俺＿＿＿＿＿＿＿＿」
続けようとした言葉はかき消された。
もう我慢できない、と言いたげな表情で、
A嬢が俺の腕に飛び込んできたからだ。
『…なんで、オビが謝るの。
謝るのは私の方だよ』
ボロボロの王女様は、胸に顔をうずめながら、震える声でそう言った。
そして、こう続けた。
『心配かけて、ごめんなさい。助けにこさせてごめんなさい。
たくさん怪我してごめんなさい。それから＿＿＿＿』
オビ「ストップ。A嬢だって謝る必要ない。
そういう時は、違う言葉を使わないと」
できるだけ落ち着いた声で、優しく促すように言った。
すると
彼女は抱き締める力を強くして、今にも消えそうな声で
『……助けに来てくれて…ありがとう…っ』
オビ「…うん。俺も。
………俺のもとに、帰ってきてくれてありがとう」
あんたのためなら、地獄へだって喜んで行くさ。
．
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ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
