autumn99 鈴の音 ページ2
★オビside
ん？
ものすごい視線を感じる……
正直、居心地が悪い。
ギル「おい、そこの猫目」
オビ「俺…ですか？」
猫目はないだろう。と心の中で静かにツッコミを入れる。
ギルの兄貴は俺に声をかけると、こっちにやってきた。
ギル「お前がオビか？」
オビ「そうです。
高貴なお方に名前を知られているなんて、光栄ですね」
彼が俺の名前を知っていたことに内心驚きながらも、それをうまく隠す。
そして、召使がやるようなお辞儀をしてみせた。
すると、頭上から大きな笑い声が聞こえてきた。
ギル「ははっ……面白い奴だな。Aが言ってた通りだ」
オビ「A嬢が…？」
ギル「ああ。
あいつとは文を通して適度に連絡を取っていてな。
そこに書かれているのは、ほとんどがお前のことだった。
本当に楽しそうに綴られていたよ。
思わず嫉妬してしまうくらいにな」
やれやれ、といった表情を見せるギル王子。
俺はなんだか気恥ずかしくなって、頬をかく。
すると王子は、ポケットをごそごそと探り、何かを取り出した。
オビ「それは……！」
ギル「この城のメイドから渡された。
あいつがいた部屋に落ちていたそうだ」
手に握られていたものは、俺がA嬢にプレゼントした鈴の耳飾りだった。
オビ「っ！！？」
ふとあることに気が付き、ギルの兄貴から耳飾りを奪い取った。
もう1度、今度は注意深くそれを凝視する。
鈴には、“赤い”なにかが付着していた。
それが意味することは……
オビ「これは…誰の血ですか？」
怒りが滲み出た低い声。
きっと今、俺は鬼のような鋭い瞳で、緑色の目を睨んでいるのだろう。
ギル「Aの血だ。ラジの兄妹が見たらしい」
ゆっくりと、彼は残酷な現実を伝えた。
オビ「……」
今にも爆発しそうな怒り。
それをどうにかするために、爪が肉に食い込むほど拳を握りしめ唇を噛み締めた。
血の味がしたが、そんなことはどうでもいい。
オビ「敵は？」
ギル「海の鉤爪だ」
海の鉤爪……海の鉤爪……
頭の中で何度も繰り返しながら、手の中にあるそれを左耳につけた。
シャン……という、場にそぐわない涼やかな音が、鳴り響く。
ギルの兄貴は満足げに微笑むと、表情を一変させた。
それは、百獣の王でも逃げ出してしまいそうなほどの迫力だった。
ギル「話はもう終わりだ。出発しよう」
.
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ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
