autumn101 指1本触れさせない ページ4
☆Aside
コツ…コツコツ……ッ
ふと、ドアの奥からヒールの音が聞こえてきた。
私は瞬時に白雪の手を引き、彼女を隠すように布を被せた。
女「よ！お目覚め？」
バンッ！という豪快な音と共に、恐ろしい目をした女が現れた。
私たちを攫った張本人だ。
女「ああ。悪いね、王女さん。深く斬りすぎたみたいだ。
そっちのお嬢ちゃんが手当てしてくれたのかい？」
床に散らばった赤い布を見て、いやらしく口角を上げる女。
私は沈黙で答えた。
女「まぁ、それくらいなら大丈夫だろ。
あんたの場合、いくら体に傷をつけようが、生きてりゃ問題ないからね」
『……』
鋭く睨む。
どうやらこいつは、私の“事情”をすべて知っているらしかった。
『ここはどこ？私たちをどこへ運ぼうとしているの？』
女「船の中さ。お前たちは貴族に売られるんだ。
特にお前は、相当な金でな。
ふふっ…嬉しいよ。
女1人連れて行くだけで、来世まで遊びつくせるほどの金が手に入る」
案外あっさりと教えてくれた。
浮かれているから、口がものすごく軽い状態なのだろう。
女「ところで、そっちのお嬢ちゃんはどうして隠れているんだい？顔を見せておくれよ」
手を伸ばしながら近づいてくる女を、大声で遮った。
『近寄らないで！
彼女に指1本でも触れたら、私は舌を噛んで死ぬ。
嘘じゃないわ。私が死んだら困るんでしょう？』
自分を奮い立たせ、強気な言葉を発する。
すると、女は舌打ちをしたあとゆっくりと後退った。
女「生意気なガキが。それじゃあ、私はもう消えるとするよ。
せいぜいお嬢ちゃんを守れるように頑張るんだな」
捨て台詞を吐いたあと、ヒールの音を鳴らしながら消えて行った。
張りつめていた空気が緩み、私はほっと息をついた。
私たちは早速、作戦会議を始めた。
『船の中って言っていたけれど、揺れが少ないからまだ出航はしていないと思うの。だから、今逃げるしかない』
白雪「私もそう思う」
そう言うと白雪は、ドレスの裾を手で思いっきり引きちぎった。
ビリ…ビリビリ……
『白雪！何をしているの？』
白雪「せっかくのドレスだけど、脱出には邪魔でしょ？」
勇ましく答える彼女は、すごくカッコよかった。
私も同じように、ドレスを破る。
『それじゃあ、作戦開始といきましょうか』
.
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- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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ルルコ - 大・号・泣！！ ほんとにタイトル通り涙の雨です！それも大雨！最後の宝探し(手紙とお花)なんて神ですね！別の意味でさらに感動しました (2021年12月15日 1時) (
レス) @page50 id: 71a021f1b6 (このIDを非表示/違反報告)
purupru(プロフ) - はまってしまい、一気に読みました。涙雨3に入ってからは涙がでて止まりませんでした。更新再開を楽しみにしてます^ ^ (2018年11月6日 20時) (レス) id: bc972e56cf (このIDを非表示/違反報告)
れ - 一気に読んでしまいました。涙がとまりません。また、物語がスタートするの待ってます。 (2018年10月13日 17時) (レス) id: 3522cc0a39 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 更新再開してくれて嬉しいです！完結まで楽しみにしてます！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 4709ebaabe (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - クラリネスで涙花病の薬つくってほしい (2018年5月15日 14時) (レス) id: 1e69e1c4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2016年12月9日 20時
