〜holiday〜赤髪と王子 ページ17
★ゼンside
白雪「これで満足？ゼン」
ゼン「ああ、もちろん。
良く似合っているぞ」
メイドに連れられてやってきたのは、赤髪のシンデレラ。
少し頬をふくらませている彼女は憎らしいほどに可愛い。
先日俺が着用したドレスとは思えない。
白雪「もう〜〜どうしてドレスを着る必要があるの。
せっかくの休暇なのに、これじゃあどこにも行けない」
ゼン「どこにも行く必要ないだろ」
白雪「きゃ…！」
白雪の手を取り、腰に手を添え、くるくるとダンスを始めた。
何故急に？という顔をしている彼女に、答えを教える。
ゼン「オビとは踊ったと聞いたぞ。俺はまだだ」
白雪「ふふ……もしかして、ずっと気にしてたの？」
ゼン「…そうだ、悪いか」
白雪の隣は俺の特権なのに…
あの黒猫に先を越されてしまうなんて。
そんなくだらない嫉妬で身を焦がす俺とは対照的に、白雪は鈴が転がるように笑った。
白雪「私がダンスの練習をしたのは、タンバルンに行くからっていうのがきっかけだったよ」
でもね、と彼女は微笑む。
白雪「私が練習を頑張れたのは、ゼンのおかげなんだ」
ゼン「俺の？」
白雪「ゼンと踊れたらどんなに楽しいだろうって」
ステップを踏むごとに、赤髪がふわりと揺れる。
それが心地よくて、永遠に踊っていられたらと思った。
白雪「つまりね…その…
…私もずっと、ゼンと踊りたかった」
少し小声で、照れたように告白する白雪が可愛くて、心臓を掴まれた。
白雪「わっ…！ゼ、ゼン？」
ダンスを中断して、その柔らかい体を抱きしめた。
愛しさが溢れて止まらない。
ゼン「今日は、ずっとこうしててもいいか？」
白雪「そ、それは…」
途端、腕の中の彼女はりんごのように頬を赤らめた。
こんなに美しい女性を一日中独り占めできるなんて夢のようだ。
ゼン「悪い。そういうわけにはいかないよな。
白雪があんまり綺麗だからさ」
白雪「っ！…今日のゼン、なんか変」
ゼン「そうか？今日は特別正直なだけだ」
ぱっと腕を離すと、あたたかな温もりが去っていった。
それがなんだか寂しくて、今度は白雪の手を取ってかしずいた。
さながら、白馬の王子様のように。
ゼン「白雪、永遠に俺だけの姫でいてくれ」
それは切なる願い。
赤髪の少女は、少し驚きながらも微笑んだ。
白雪「もちろんです、ゼン殿下」
これは赤髪のお姫様と、銀髪の王子の物語。
・
終わり
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名無し67465号(プロフ) - 号泣しました。素敵な作品をありがとうございました。何度も読み直しにきます。ありがとうございます (10月25日 2時) (
レス) @page7 id: 4d7900bf24 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - すごく感動して、心にグッとくるお話でした。ハッピーエンドの作品だと思ってみたら、すごく悲しいエンドで衝撃的だったけど、作者さんのコメントを見てすごく納得しました。この作品を作ってくれてありがとうございます。この作品に出会えて良かったです(><) (2022年1月1日 8時) (レス) @page16 id: 740eade1e6 (このIDを非表示/違反報告)
華奈(プロフ) - 1日で全て読んでしまいました…笑 読み進めていく度に号泣してしまいました…明日は目が腫れますね笑 素敵な作品に出会えて良かったです！ありがとうございました！ (2021年12月22日 0時) (レス) @page7 id: 45dc289628 (このIDを非表示/違反報告)
イヌイット(プロフ) - 号泣しました。心に響く素敵な作品をありがとうございました。 (2021年9月23日 4時) (レス) @page7 id: 4f33071aee (このIDを非表示/違反報告)
菜月 - とても感動しました！心に響いて涙が溢れ出しました…、、ありがとうございました^_^これからも応援してます！ (2021年6月9日 17時) (レス) id: 6961366fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2019年3月24日 1時
