〜memory〜女装大会�� ページ12
ゼン×Aside
『ゼンはムカつくくらいに顔がいいね』
ゼン「なんだそれ褒めてんのか」
白い粉を塗られ
青い粉を塗られ
赤い粉を塗られ……
自分の顔の上に絵でも描かれているみたいだ。
なんでも、俺をプリンセスにしてくれるらしい。
物凄くメルヘンチックに。
"メルヘン"
聞いただけで背中がゾクッとする。
『白雪じゃなくてごめんね〜』
からかうような声が聞こえた。
にやにやと意地の悪い笑みだ。
ゼン「こっちこそ、オビじゃなくて悪かったな」
『フフっ…私は誰と組んでも嬉しくて幸せだけど』
ゼン「俺だってそうだ！」
こうして2人きりで話すのは久々だ。
あの頃に戻れたみたいで懐かしい。
『私たち、運命の人に出会えたんだね』
ゼン「……ああ、そうだな」
突然神妙な面持ちでそう言うから少し驚いた。
運命の人なんて、いないと思ってたのにな。
『ねえゼン、白雪のこと、必ず幸せにしてね』
ゼン「もちろん。
誰に言われずともそうするつもりだ」
『オビのことも、幸せにしてあげて』
ゼン「それじゃあオビも妻に迎えるか」
『ぷっ……あははっ！それはいい考えね』
彼女は、人に幸せを与えるような笑顔を浮かべると、俺の唇にリップを塗った。
それを終えると、次は髪を整え始めた。
その顔はさっきとは打って変わって神妙な面持ちだ。
『でも本当に、頼んだよ。
素敵な女性がいたら紹介してあげて』
ゼン「……お前は、それでいいのか？」
『…うん。想像しただけですごく妬けてしまうけど、オビが選ぶ人なら間違いないし。それに……』
髪を梳く手が止まる。
Aの瞳が美しく細まる。
『私、その人とお友達になるつもりなの。
天国で、私たちが愛した人がどんなに素敵か語り合いたい』
今からそれが少し楽しみでもあるの、って目の前のお姫様は本当に嬉しそうに笑った。
俺は、かけるべき言葉を見つけられなくて、そっとAを抱き締めた。
『ゼン…？』
ゼン「……絶対…優勝しような」
『う、うん！！』
少しでも長く、彼女が幸せな想い出に包まれるよう願う。
・
・
____________助けられなくて、ごめん
喉まででかかった言葉を、静かに飲み込んだ
・
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名無し67465号(プロフ) - 号泣しました。素敵な作品をありがとうございました。何度も読み直しにきます。ありがとうございます (10月25日 2時) (
レス) @page7 id: 4d7900bf24 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - すごく感動して、心にグッとくるお話でした。ハッピーエンドの作品だと思ってみたら、すごく悲しいエンドで衝撃的だったけど、作者さんのコメントを見てすごく納得しました。この作品を作ってくれてありがとうございます。この作品に出会えて良かったです(><) (2022年1月1日 8時) (レス) @page16 id: 740eade1e6 (このIDを非表示/違反報告)
華奈(プロフ) - 1日で全て読んでしまいました…笑 読み進めていく度に号泣してしまいました…明日は目が腫れますね笑 素敵な作品に出会えて良かったです！ありがとうございました！ (2021年12月22日 0時) (レス) @page7 id: 45dc289628 (このIDを非表示/違反報告)
イヌイット(プロフ) - 号泣しました。心に響く素敵な作品をありがとうございました。 (2021年9月23日 4時) (レス) @page7 id: 4f33071aee (このIDを非表示/違反報告)
菜月 - とても感動しました！心に響いて涙が溢れ出しました…、、ありがとうございました^_^これからも応援してます！ (2021年6月9日 17時) (レス) id: 6961366fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミネコ | 作成日時：2019年3月24日 1時
