獣 (ページ18)

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20歳になった俺は1人で人間界に行っても
怒られない。

これが大人の特権だ。

ラウール「照くん、俺。行ってくるね」

照「待って、」

そう言って俺の袖を掴んで腕を広げる照くん。

照「ん、」

抱きしめてと言わんばかりに俺を誘う。

ラウール「早く帰ってきますから」

強く抱き締めた貴方の感触を残し
数年前あの人にあった場所へと歩き始めた。

期待はしていなくとも
もし、君の姿があったらと願い続け、
場所へと着く。

ラウール「そりゃ、数年だもんな」

目黒「ラウール？」

その声はめめだった。
めめの見た目はさほど変わらなかった。

目黒「ここ数ヶ月で大きくなったな、ラウール」

数ヶ月。
人間界の時の流れと
野獣の時の流れは交わっていない。
時の変化は体の成長にも現れる。

ラウール「まーね、成長期だから」

目黒「そのネックレス付けてくれてたんだ」

ラウール「あー、かっこいいから」

目黒「そっか、嬉しい」

それから話し続けいつしかあの頃みたいに
日が落ちた。