お義父さんのお呪い【青】

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目を覚ますと朝ごはんを作っているらしき音が聞こえてきてうっすらとしか開けていない目をしょぼしょぼさせる。キッチンの方で、なにかを作っているころんさんの姿がチラチラと隙間から見えた。

昨日のことがあったからなのか、ただ眠いだけなのかは分からないが、声をかけたくはない。そおっとしておいてほしい。その場にいないように振る舞ってほしい。ころんさんの一言でも聞いてしまったら、ひざから崩れ落ちそうになるから。

転ばないようにゆっくりと布団から出て立ち上がり、ふぅとひと息ついて休憩する。そもそもこんな所で寝ている理由は何。ころんさんと同じ寝室で寝られなかったのって、なにかあったからだっけ。


ああ、そうだ。
キスされたんだ、私。


もしかしたら沙耶さんっていうのもあの人のことだったりね。これはなんの根拠もなくて、ただ女の勘ってやつだけど当たってる気がする。


「おはよ、起きてたんだ？」
「うん」
「おはよぉーございます」
「おはよう」

いつも通りかな。変じゃないよね。

「僕ね、昨日どうやって帰ったのか覚えてないんだけどー、A分かる？」
「えぇ」
「おねがい！途中で沙耶が僕んこと抱き抱えてたような気がして、、！」
「……やっぱり沙耶さんってあの人のことだったんだ」
「へ？」


やっぱり無理かも。ひざから崩れ落ちて地べたに手ついてこれ以上はやめてください、って涙流しながらお願いしようかな。そうしたらこの拷問も昨日のこともなかったことにできるかな。


「なにか知ってるの？」
「、なにも知らないよ」
「うそだ」
「嘘じゃないもん」
「だって、ほら、もう止めてって涙目で訴えてきてるみたい。それ態とじゃなかったら、大事」
「なにいってるの」


ころんさん意味分かんない。
なにいってるのこの人は。なんのこと？

私を沙耶さんだと思ってキスしたってことは、ころんくんが沙耶さんのことを好きだってことでしょ。泥酔状態だったら、誰がだれだか見分けつかないもんね？

じゃあなんで、新婚さんだなんて嘘吐いたのよ。余計辛くなるだけじゃない。

この人は、私を、なんだと思ってるの。



「もうムリ。ころんさんダメ」
「主語をちゃんと言って。」
「私ころんさんみたいな人無理かも、しれない。ごめんなさい」
「は？」
「お義父さんとしてはすごく大好きだったのに、こんな人がお義父さんなんだ、って思ったら反吐が出そうになるんだけど、なんで？」
「……」


私って、ほんと、自分勝手。

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