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私の向かいでにっこにこの笑顔を浮かべるころんさんと、すぐとなりで品定めするかのようにころんさんを髪の毛の先端から足のつま先までじっとり見つめる真顔の環妃。こら、って意味で肘を突くと何を思ったのか、突然笑顔になって口を開いた。
「ところでAとはどういったご関係で?」
「うーん、保護者?お義父さんって自分では思ってるけど」
「ハ?」
ぐ、環妃がものすっごい顔でころんさんを睨みつけてる。眉間に皺が集まりすぎて怖いヨボヨボのおばあちゃんみたい。
「義理の父ってことですか」
「まあそうなるね」
「ふっざけんな!」
「へ?」
「なんでそんな大事なこと私に言わないの!いつから?ねえ、いつからなの?」
「7か月前?くらい」
「随分と……前から……」
「すみません」
「ほんとよ!ばか!」
もうおバカさんなんだから、って泣きそうなくらいうるうるした目で私を見つめる。こんないい子をいつか素敵な人が幸せにしてくれますように。親友でも高校生だとここまで密接に関わって思ってくれる人なんてなかなかいないもの。大切にしないと。
……なんて思っていたら、向かいで気まずそうに身体をうじうじさせるころんさんが視界に入った。
「わ!すっかり存在忘れててごめんなさい、ころんさん!」
「んーん、いいの。……あれ?存在忘れてた?さすがにそれは酷くない?」
「あはは!」
「あははじゃないよ、……」
「ころんさん、そういえばジェルくんは?」
「あ」
「忘れてたのね?」
「うう、ごめんよ、ジェルくんーー!」
「行っちゃった……」
何をしていたのかよく分からないまま話は終わった。
そのままお会計して外に出るところんさんが再びこっちにやってきて、私の腕を勢いよく掴んで引っ張られ、ぎゅーっと抱き着かれた。……ぇ、と小さく声が漏れる。となりにいる環妃のキャーキャー言ってる声が耳に入ってきてようやく事の理解が出来た。
その間も抱き締めている手を離そうとせず、ゆっくりと息を吸って耳元で何か囁いた。
「充電完了。これからまた仕事だけどAのおかげで頑張れそう」
きゅーん。
胸がなんかトキめいた。
いや充電て!バカップルみたいな!
恥ずかしすぎる。
「A!聞いたよ見たよ?さいっこうのやつ!」
あんただれよ。
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桜蓮(プロフ) - りろんはログインできなくなった女さん» 原点に戻ってみたの!あら親子モノ苦手なの……これを機に好きになってほしい〜〜!(あなたじゃむり) (2020年11月29日 14時) (レス) id: 0e1912d1da (このIDを非表示/違反報告)
りろんはログインできなくなった女(プロフ) - あがっ!青ってsrrさんかとおもったら!きゃー!親子モノって苦手なんだけど、これは読めそう、、! (2020年11月29日 9時) (レス) id: 635abaddbe (このIDを非表示/違反報告)
桜蓮(プロフ) - みなみさん» みなみさんだ!私としてはどっちも好きなので、混ぜればいいのでは……?みたいな思考に至りました。お褒めの言葉ありがとうございます!がんばります! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 0e1912d1da (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 待って、青春と大人の恋愛が混ざってるだと!!?え!!?これは読むしかない(誰)更新頑張ってください!応援してます!!! (2020年11月28日 20時) (レス) id: ff2c73bee9 (このIDを非表示/違反報告)
桜蓮(プロフ) - しゆさん» ありがとうございます。皆様からのコメントが本当に励みになります。がんばります!! (2020年11月27日 22時) (レス) id: 0e1912d1da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜蓮 | 作成日時:2020年11月23日 15時