百二十一の家族 ページ29
一目惚れで
初恋で…
本当に大好きだった……愛していた人…
けれど、一方的なものだった。
｢……久しぶりだね｣
リナ｢ぁ……はい、お久しぶり…です;｣
昔と変わらない……綺麗な黒髪、声…
この声を聞いていると、すごく落ち着いたことを覚えている。
今は……どうだろう…
落ち着いているのかな…僕は……
｢立ってないでさ、座りなよ。
それと、敬語もいらないよ。昔みたいに楽に話してくれて構わない｣
彼女は自身の髪とは正反対の色をしたワンピースをフワリと揺らし、僕が座っているベッドに……僕の横に腰を下ろした。
リナ｢……怪我、大丈夫なの?｣
遠慮がちに聞いてくる彼女。
声と手が少し震えている……緊張しているんだろう。
｢うん、もう殆ど平気。
まぁ…腕は無いけどね｣
僕は軽い感じでそう言った。
リナ｢っ…;
変わらないわね…怪我をしても、すぐそうやって冗談みたいにふざけて言う。
腕が無いって…笑い事じゃないのよ;｣
｢……うん、ごめん｣
リナ｢……;｣
病室が、こんなに静かになったのは初めてな気がする。
ほぼ毎日の様に、愛弟子や生徒…その他諸々が見舞いに来てくれていたから騒がしかった。
｢本題に、入ってもいい?｣
僕はこの沈黙が居心地わるくて、口を開いた。
リナ｢！…本題?｣
｢うん、ここに来た…君の�猝榲��瓩辰討覆�?｣
リナ｢えっ…;
何って、貴方の見舞いに来たのよ?｣
｢……そう。
それじゃあさ、その…隠し持ってる物騒な物を僕にくれないかな?｣
リナ｢っ!?;｣
｢とぼけようとか思はないでね。
片腕でも僕は君を殺せる……それはよく分かってるだろう｣
リナ｢……な、何で……分かったの?;
これ…持ってるって……;｣
彼女は懐から一丁の拳銃を取り出した。
｢そりゃあ……僕だって伊達にマフィアやってないしね。
最初は、どうして君が僕に会いたがっているのか本当に分からなかった。
もしかしたら…僕じゃなくて、恭弥(子ども)に会いたいんじゃないかって考えもしたよ｣
リナ｢……;｣
｢けど、よく考えるとおかしな点がいくつもあった｣
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作者名：撫子桜 | 作成日時：2017年9月12日 20時
