５６話 ページ9
A「ゴ、ゴール…？」
目の前にはゴールのテープ。
学「ああ。せめてゴールくらいは一緒にしたくて」
そう言うと同時に秀くんは一歩を踏み出し、ゴールのテープを切られる。
「最も速かったのは浅野くんと小柳さんの美男美女ペアでした！！おめでとうございます！」
美男美女！？お世辞にもほどがあるわよ！
だけど、目の前にいる放送部員に言うわけにもいかない。
「ちなみに、浅野くんは何故小柳さんを？」
学「それは、Aのことが大好きだからです」
A「な…！！//こ、ここで言う、普通！？//」
学「うん、もちろん」
そう言ってさっきのにやりとした表情をする秀くんは意地悪だと思った。
A「そ、そんなことより早く下ろして…私は重いだろうし皆見てるから…//」
学「そんなの、嫌に決まってるだろ？」
すると、私の耳に顔を近づけて
学「赤羽の隣で体育祭を楽しんでいる姿をこっちは延々と見せられたんだ。後でどんなに嫉妬したかわかってもらわないとね」
A「ええっ！？」
その時。
學「ああ、やっぱり浅野くんは小柳さんの事が好きだったようだね」
A(え、理事長先生！？)
もう何が何だかわからなくなって口をパクパクさせてしまう。
学「ええ。隠すつもりでしたが、こうなっては仕方ありませんね。理事長のご想像通りですよ。僕たちは付き合っています。」
學「やっぱりね。浅野くん、いい加減に小柳さんを下ろしてあげなさい。それにゴール前だから他のメンバーの生徒の邪魔になる」
学「仕方ないですね」
そう言ってようやくAをおろす学秀であった。
A(ああ…恥ずかしかった…)
ひとまず退場口に向かう。
學「小柳さん、うちにはいつでも遊びにいらっしゃい。その方が何かと便利だろう？」
A「え、いいんですか？ありがとうございます！」
學「それと浅野くん、小柳さんを大切にね」
学「そんなの僕が一番わかっていますよ」
學「そうだね。じゃあ私は戻るけれど、二人は自由にしなさい」
そう言って理事長先生は去っていった。
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作者名：ぴょこたん | 作成日時：2018年3月29日 15時
