絶望プリズン短編集 (ページ9)

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シロウ 2ー1 ページ9

「シロウー」

「はい、なんでしょう？」

「シロウってさ、普通にカッコイイよね。」

ふと思ったことを口に出してみる。
するとキョトン、とした顔でコチラを見る。

「…はい？」

「喋ったら残念だけど。」

「…はぁ…」

一体どうした、と言いたげな顔をする。

「不気味だし、オカルト好きだし、直球すぎるし、とにかく変人だし。」

何が言いたい、というような表情をしていた。
私はお構い無しに言葉を続ける。

「でもさ、仲間思いだし、優しいし、オカルトに一途だし、可愛いし。変人だけど。」

「可愛いは余計ですよ…」

「まあそんなシロウだからこそ、みんな集まってるんだろうね。」

そう言うと何かを考え込むシロウ。

「カッコイイは…」

「ん？」

「カッコイイは、言ってくれないんですか？」

「え、だってカッコイイってより可愛いし。」

そうサラッというと。
いつの間にかすぐ近くにシロウがいて。
なんだかいつもと違う雰囲気で。
ジリジリと私自身も後ろへと下がると壁に追い詰められる。

「どうしたら、カッコイイって思ってくれますか？」

「へ？」

「こうしたら…いいんですか？」

そう言いシロウは壁に手をつく。
いわゆる壁ドン、という体勢になる。

「僕だって男ですよ。好きな人にはカッコイイって思われたいです。」

そう言いながらどこか赤い顔で顔を近づけてきて。
壁に付いてる手と反対の手で頬を撫でられるともう私は心臓の音がうるさくて。

「シロウ、は…十分カッコイイよ。」

そう言うと満足そうに笑顔を浮かべて。

「だったらいいです」

そう言いながら離れてくシロウ。

(ちょっと残念だったな…)

なんて思ったのはここだけの話。

(ねえ、ところで壁ドンなんてどこで覚えてきたの。)
(え？マチさんに聞いたら少女マンガでも読んで勉強しなさい、と言われて…)
(…なるほど。)