絶望プリズン短編集 (ページ7)

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キスケ 2ー3 ページ7

中から出てきたのは先ほど見ていたネコのぬいぐるみ。

「え、これ…」

「それ、欲しかったんだろ？」

「なんでわかったんだ？」

視線を逸らしながらいうキスケ。
嬉しいけど、素直に喜べない俺もいた。
だって、他の子にもこうやってプレゼントしてるのかな…とか考えたらすごく嫌で…

「…嬉しく、ないか…？」

「……いや、嬉しいよ？」

「ならなんでそんな泣きそうな…」

そう頬に手を添えるキスケ。

「だって…他の子にもあげてんだろ？別に俺だけって訳じゃないんだろ？」

自分で言ってて悲しくなってきて、涙が零れそうになるも後ろを向き耐える。
キスケに泣いてるところ見られるわけにはいかない。
面倒臭いやつだって思われたくない。
すると背中が暖かい温もりに包まれる。
抱きしめられてるって気づいたのはしばらくしてからだった。

「お前だけ、だよ…こんなプレゼントなんて…」

「…嘘、だ…だって…」

「ほんとだよ…好き、なやつだから…」

え…？今、なんて…もう一度聞き返そうとしたら腕の力が少し強くなる。

「お前、独り言でもそのネコ、欲しいって言ったか？」

「言って、ない…」

「好きなやつの欲しいって思ってるものくらい、見てたらわかる…これでも、信用出来ねえか？」

「ううん…信じ、る…」

しばらくそのまま抱きしめられたままで、しあわせな気持ちを噛み締めていた。

「あー…で、さ…返事、いい加減欲しいんだけど…」

「返事？」

「告白の返事。」

あ、つい俺としたことが幸せすぎてうっかりしてた。

「俺も…好き…キスケのことが、大好き」

多分俺にはこれ以上の笑顔は出来ないってくらいの笑顔を見せて答える。

「…ん、俺も好き…すげー好き。」

そういって最後にもう一度、抱きしめられて。

「そろそろ帰るか。」

「ああ、」

差し出される手に、そっと俺の手を重ねた…

(キスケ、これ、大事にするな)
(…おう。)