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「A危ないっ!!」
そんな声が聞こえた頃にはもう遅く、地から離れてしまった足が言うことを聞くわけなんてなくて、自分でも落ちちゃうと思ったその時下にいた男の子の驚いたような瞳と目が合った。
ごめんなさいそこの人、どうか私を受け止めてくださいお願いします、いやでも受け止めてもらったらこの人まで怪我しちゃうかもどうする?どうしよう、どうしたらいいの!?
『あだっ』
そんな迷いも虚しく結局下にいた子にぶつかってしまった私。
『いたた、ご、ごめんなさい飛び込んじゃって、大丈夫ですか、?』
少し触れただけでもわかるような固く逞しい胸板にぶつけてしまった顔をゆっくりとあげた私。そこにあった綺麗な顔にも驚いたけど何よりも驚いたのは
『あれ?見覚えのある下まつげ』
こんな綺麗でバサバサの下まつげあの人以外に見たことないとあまりの珍しさに彼の頬に片手を添えて見ていれば驚いていたはずの表情が少し赤に染まった。
「ちょっとA大丈夫?怪我は?」
後ろから聞こえてきた栞の声にはっとする。そうだこんなことをしている場合じゃない。
『私は全然大丈夫、それよりも君大丈夫?痛いところは?ごめんなさい尻もちまでつかせちゃって、手も思いっきり床に付いちゃったよね手首とかなんともない?』
「いい」
大丈夫だろうかと触れた手を払われてしまって行き場のなくなった手。いつの間にやら表情も面倒くさそうな不機嫌な顔になっていて少し焦る。
どうしよう私が倒れ込んでしまったがばかりに彼を怒らせてしまったのかもしれない。
『本当に大丈夫?』
「なんともねーよ、いいから上退け」
『あ、うんごめんなさい。』
「もーAったらいつもこうなんだから少しは気をつけて!ほら行こ。」
「でも栞…」
「大丈夫でしょ本人がなんともないって言ってるんだから。」
彼の上に乗っかっていた体を起こし、いつの間にかばらまかれていたプリントを全部拾ってくれていた栞に引っ張られだんだんと遠くなっていく彼との距離。
なんだかまだ申し訳なくて1階へと降りていくその後ろ姿に「助けてくれてありがとう」と叫んだ。
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作者名:花子 | 作成日時:2024年1月16日 17時