26.後ずさる ページ4
正直言った話、今の私のせいで厄介事にはしたくないしなりたくもないのだ。
…それに、好きだと言われてもよくわからない。
だって恋したことないから!!
生まれてこの方お付き合いなるものをした事がないのはもちろんのこと(婚約者居たがそれはノーカウント)好きを伝えたこともなけりゃ伝えられたことも無いこの乙女にそんなこと思われましてもね!!
いや、義勇と錆兎のあれはどうなのかちょっとよくわからないけれども、それでもねぇ。
「た、確かに、Aさんのこと、す、好きだけど…」
女の子のようにもじもじしながら顔を赤くさせてこちらを見る善逸。あざといとはこのことか。
「俺、本気だよ!!」
『そうは言ってもね善逸くん。
あらかじめ言っておくと、今の私はおかしいの。
なんていうか、体からフェロモン……色気が飛び出してる感じ?
とにかく血鬼術にかけられててね。
私ももうここ何日かこの状態で過ごしてるけどフェロモンに当てられたような人達がわんさかわんさかよ。
だから、善逸も多分それで…』
「違う!俺はそんなもんに惑わされてなんかないんだ!
本当にAさんが好きで、一目見た時から運命を感じたんだよ!!
最初は確かに炭治郎とか伊之助がAさんのことを怖がってたから俺も同じように怖かったけど、Aさんの音は優しくて心地いいし、なにより笑顔なんてとても可愛くて…………
と、とにかく俺は好きなんだ!Aさんを愛してる!!」
一生懸命に伝えてくれているのは見て分かる。
必死になって誤解だと述べる彼が本当に私のことを好きなんじゃないかと思ってしまうくらいには。
すきだ、あいしてる、なんて真正面から言われるなんて誰が想像した?
言葉にされたあまりの衝撃に私の心臓がドクドクと早まり始めるのを感じる。
顔なんて最早沸騰済みである。
でも、それでも…
『やっぱり無理、ごめんね善逸。普通なら答えられてあげてたけど今は無理だよ。
こんな体質になっちゃった限り治るまではそういうの信じられないっていうか…
やっぱり惑わされてるんじゃないかと思うからさ。』
「っ……そんなに言うなら証明するよ、俺は本気だから。」
と、獲物を捉えた獣かのように瞳をギラつかせこちらに近づいてくる彼。
私は思わず後ずさった。
『…はい?
え、ちょ、ちょっと待って証明するって、話聞いてた!?そんな近寄られても逆に証明できてないと思うんだけど!!』
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とく(プロフ) - 面白かったです♪更新待ってます♪ (7月24日 19時) (レス) @page6 id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
Nami - 冨岡さんと錆兎のアレの続き、読みたいです。今度は激甘で…。(可能な範囲で) (2022年12月27日 19時) (レス) @page6 id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
Nami - 冨岡さん長めで面白かったです♪また絡み見たいなぁ〜。 (2022年11月17日 15時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
黒酢 - 更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月18日 8時) (レス) id: e1ff724525 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 更新待ってます! (2020年8月17日 23時) (レス) id: 89921e68ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水飴 | 作成日時:2020年2月27日 16時