正真正銘、ゾルディック家の長女ですけど？ (ページ3)

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イルミと朝ページ3

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窓からもれる外の光。鳥のさえずる声。
そして、＿＿＿僅かにもれた殺気。

エルは咄嗟に殺気に気づき臨戦態勢に入る。

「姉さん、おはよう」

『…イル、おはよう』

殺気を放った人物、イルミ=ゾルディックを見て杞憂だったと判断した。

「そろそろ姉さん準備してよ。今日はオレと仕事に行くんだから」

『はいはい、』

近くで殺気を出したのにも関わらず、全く悪びれもしない弟に苦笑した。

『イ～ル、お姉ちゃんを起こす時はもっと優しくしてよ。お姉ちゃん、殺気で起こされてばっかじゃ泣いちゃうよ？』

イルミがエルを起こすことは毎日の恒例になっている。故に、毎日ぞくりとした朝を送っていることはエルにとっては気が気じゃないのだ。

「姉さんは泣かないでしょ」

『何を根拠に』

少しむすっとしたエルには目もくれず、何かを悩んでいる。

「オレよりも早く起きればいい……んー、違うな」

『お姉ちゃんに早く起きろと申すのか』

「無理ってわかってるよ。あ、そうだ」

名案を思いついたというように、人差し指をたてて彼女の方をむく。

「オレがキスして起こせばいいんじゃない？」

＿＿＿は？
言われた言葉を理解し、その言葉がエルの口からもれるのに少し時間が経った。

『…お、お姉ちゃん、』

「ん？姉さんどうしたの？」

ぷるぷると肩を震わせてイルミの方を向く。

『イルがキスなんて言葉知ってるなんて知らないっ！』

「は？」

頬を膨らませ、イルミを睨む。
イルミはそんな彼女を見て理解不能と判断した。

「はぁ。…姉さん、オレが知ってることは姉さんも知ってるし、姉さんが知ってることは俺も知ってるの。分かる？」

『だからって、うぅ……』

「で、キスで起こした方がいいの？」

『いえ、肩叩いて起こしていただければ幸いです』

「何急に丁寧に喋ってるの」

イルミのいつもの調子にエルはため息をひとつもらした。
弟のいつも通りの表情や行動。

『…うぅ、可愛いなぁ……』

「何言ってんの」

『弟が反抗期！お姉ちゃん泣くよ？』

「泣かないでしょ」

『何を根拠に！！』

先程の会話をまた繰り返し、エルのその日の朝は過ぎていく。ようやくエルも、支度をするためベットから起きた。

(……可愛いのは姉さんでしょ)
(愛しの弟よ、何か言った？)
(いつも通りアホだねって)
(反抗期！！！)
(はいはい、早く準備してよ)
(……お姉ちゃんの扱いぃ………)

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