正真正銘、ゾルディック家の長女ですけど？ (ページ11)

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オーラを纏っていたはずの自分の腕からボキッと嫌な音がした。そして、脳に痛みの信号が伝わった。

『…っ、悪趣味、だねっ…！』

エルは咄嗟にしゃがみこんだ。
ナイフを持っていられなくなった腕は、だらりと重力に従って落ち、ナイフが支えていた仕込み刀はエルを完璧に捉えていた。

「…詰み、だな」

エルの腕を折った眉なし男はにやりと笑う。
内心、性格わっると思いながらも、最後の手段をとる準備に入った。

「お前、名前は？」

俯いた状態になった私にリーダーらしき男は声をかけた。

『エル』

「へぇ、綺麗な名前してんじゃねぇか」

『んふ、そりゃどーも』

この状態になっても私は笑顔で対応する。

『あ、さっき私に詰みって言ってたけど…それ、こっちの台詞だよ』

それをきいた口元を隠した男はスグに私を刺そうとした。

「お前、調子乗りすぎね」

『死ぬかもしれない瀬戸際ですからねぇ。…【水の美飾服(アクア·ドレス)】』

私の周りを水の糸(ノコギリ級の強度)が包み込んだ。
それに触れた口元を隠した男の持っていた仕込み刀の先端がぱらぱらと私の元へと降ってきた。

『おやぁ、鉄も切れるようになったのか…。これは使える』

「何やたね、お前」

『ただ、私の周りをこれで囲っただけだよ』

動かせる折られた手と反対の手の人差し指、中指、小指を動かす。

「…なんだアレ？」

『この技、自分を囲むようじゃないんだけどね。仕方ない。私はここから動けないし、あんた達も私を殺すことは出来ない。それは、そこの仕込み刀の先端見てわかるでしょ』

勝ち誇ったような笑みを浮かべるエルに、周りのものは一歩後ずさる。

『後は可愛い弟を待てばいい。…いってて』

ズキズキと折られた右手が主張する。

絶をすればそれなりに回復力は高まるけれどこんな時に絶にしたらただのアホだし。

「ふっはは、一本取られたってことか」

『んー？何ー？よゆーそうだね。オールバックの男』

「なんだその呼び方」

『だって私、あなたの名前知らないんだもん』

オールバックの男と、エルが互いに警戒しあい睨み合ってたときにようやく彼は来た。

「姉さんやっと見つけた、…ってなんで旅団がここに居るの？」

「「は？」」

『愛しの弟よー！♡無事じゃないけど生きてるよ～！』

「うんうん良かったよ。姉さん死ななくて」

エルは水の糸の中、弟の名前を呼んだ。

旅団、と言われた者達は混乱以外できることはなかった。