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「っ…A、は…A、は……」
震える声で中也は口を開く。
こんなにも、こんなにも胸が痛い。これ以上此奴のこんなに苦しそうな顔を見たくない。
本当の事を言っていいのだろうか、今のうちに記憶を塗り替えさせておいた方が楽じゃないのか?
ああ、此奴の中でAという存在はとても大きいものだったんだ。
「どうしたんだい?早く言ってくれ給えよ」
「……死んだ」
は…?
時が止まった。治の時が。流れている時が。
何を言っているんだこの相棒は。
「エイプリルフールはまだ大分先だよ?そんな冗談なんか僕に通じると思ったかい?」
冗談でもそんなに縁起の悪い事は言わないでくれないか。
「っ分かってるんだろ。手前も」
中也は言った。
シーンと静まり返る。
嗚呼、なんで死んだんだよAは。此奴はAの事が大好きだったのに。
俺でも物凄く胸が痛いというのに太宰だともっと痛いじゃないか。
“ 好き ”の二文字も俺はまだ手前に言ってねぇのに何かってに死んでんだよ。
「っ嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ…!!」
治は虚ろな目で叫ぶ。大きな声で叫ぶ。
「っおい!」
中也は暴れる治を取り押さえようと手を伸ばす。
だが、手をはねられ、手に花瓶が当たり花瓶は床へと落ちパリンと音を立て割れた。
「A、A、A…」
Aの名をか細い声で連呼する。
結構な力で飛ばされた中也は壁に体を打ち付けた。
治がベットから出て部屋を後にしていく治に急いで中也は立ち上がり治の後を追いかける。
「っ姐さん!太宰を押さえつけてくれ!!」
痛む体に鞭を打ち治を追いかける。
偶々その先を歩いていた姐さん、尾崎紅葉に向かって叫ぶ。
紅葉は横を通り過ぎようとする治の腕をパシッと掴んだ。
「…姐さん。離して」
ゆっくりとした口調で。
だが、しっかりと意思を伝える声で。殺気を大量に放ちながら鋭い目線で睨んだ。
さすがの紅葉もここまでに強い殺気を受けたことがなかったのかたじろぎ冷や汗を書くが
決して腕は離しはしない。
「っ離せよっっ!!」
思いっきり振り切った。バッと一気に腕が離れる。
「っ僕がどんな思いなのか知ってるの!?大好きなAが、僕のAが死んで!!」
大声で叫ぶ。
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嘘吐き姫(プロフ) - 中也さん、今度は戦国武将ですか…敵がバッサバッサですね(笑) 名前っぽいペンネームも素敵ですけど、双黒尊い…って、率直&ドストレートで、私は結構好きです!名前変わっても双黒尊い…さんはM・T(マイ・天使)です(( (2019年11月8日 19時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
双黒尊い…(プロフ) - リアさん» それは大変失礼いたしました。私がこのCSSを気に入っているという諸事情であまり変えたくないのです。本当に申し訳ございません。もうお知りになっているのかはわかりませんけれど右側にあるCSSという所を押せば、普通のに切り替わりますよ。 (2019年11月8日 16時) (レス) id: f17b921f9b (このIDを非表示/違反報告)
リア - あの小説のほうはすごく面白いのですが背景が桜の花びら、字が白なので大変読みにくいです壁紙を変えてください (2019年11月8日 16時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - 双黒尊い…さん» リクエストください(笑) (一つ前のコメント、レスつけそびれちゃいました、すみません!) (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リクエスト消化、ありがとうございました!びびりみたいなコミュ症みたいな夢主ちゃんめっちゃ可愛かったです(眼力) あと、「俺ってそんなに怖いのか」っていう中也さんの心の叫びにちょっと笑っちゃいました(笑)リクエスト停止を解消したら、是非私の作品にも (2019年11月6日 22時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:双黒尊い… | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kouki69632/
作成日時:2019年10月22日 19時