天下の双黒様だって彼女様には敵わない 【双黒/短編集】

# ページ47

今まで、泣いてばかりだった。
怪我をしては泣いて、転倒しては泣いて、太宰さんが怪我をすれば泣いて。
嬉しなき何てちっともなかった。
いつも辛くて、悲しくて、全てが嫌になって、泣いてた。
赤子のように、えんえんと一日に一回は必ず泣いていた。
いつしか、周りからは嫌がられて敬遠されていて、泣き虫ちゃんというあだ名がついていた。
けど、太宰さんは私がいくら泣いても嫌な顔一つもしなかった。
私が泣けば
「泣けばなんでも許されると思ってるの！？」
って、皆言ってた。
「大丈夫？」
って優しく手を差し伸べてくれたのは、太宰さんだったんだ。
太宰さんが、私の中でヒーローという存在になり、いつしか“想い人”になってったんだ。

「うふふ。泣き虫ちゃんは私がいないと何もできないんだね」

太宰さんの胸板に顔をうずめて、涙を流す。
こくりと一つ、頷いた。

「だったらさ、私の傍にずっといなくちゃね」

街灯下の元で、私たちはどことなく唇を合わせた。


嗚呼、私のヒーロー。私だけのヒーロー。
いつしか、彼が想い人になってたんだ。
信じられないなぁ。まるで御伽噺のようだ。
敵同士になっても、貴方といれば
るんるん気分でしょう。

―――

＼豆知識コーナー／

太宰「最近国木田君がうるさくて困っている、太宰さんだよ」

中原「最近太宰が帽子の中に蛞蝓を入れてきたのでぶん殴った、中原中也だ」

太宰「中也は手加減という文字を知らないのだよ。別に同じ蛞蝓だからいいじゃないか」

中原「あぁ゛？喧嘩売ってんのか手前ぶっ殺すぞ」

太宰「やって見給えよ…と言いたいところだけど、これ以上中也と茶番してたら時間が
なくなっちゃう」

中原「チッ…」

太宰「嗚呼、そういや皆気付いたかい？最後の文章。あれ縦文字になっているのだよ」

中原「作者が言っていたぜ。「もうこれが限界何です縦文字なんて書いたことないんです
許してくださいお願いします」ってなァ」

太宰「中也よく一息で言ったね。ちなみに最後の縦文字は「嗚い信敵る」を平仮名に変えると？」

中原「お気づきの方ももういるかもしれねぇが「あいしてる」だぜ」

太宰「私縦文字なんてやったことないよ。今度Aちゃんにでも送ろっかな」

中原「ん？嗚呼、もう時間だぜ。次俺ァ任務があるからな。短いが今日はここまでだ」

太宰.中原「じゃあね.またな」

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