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「他には…ん、日記?」
机の上に置いてあるノートにはたしかに『日記』と書かれていた。
…覗いてみるか。
『○月△日
グルッペンがとうとうあの計画を施行するらしい。
なんで俺が選ばれたんかは知らんけど。』
『○月X日
どうせすぐ飽きてまう』
『○月◇日
あいつらもなかなか悪やな。
弱らせてから…。』
「何しとるんや。」
「わお。何にもしてないです。」
思わず小説にも出ないような驚き方をしてしまう。
トントンさん怖い、ごめんなさいわざとだけどわざとじゃないんです。
トントンさんは日記を手早く取り上げ、私が読んでいたページを黙読する。
そして、冷や汗を垂らしながら尋ねた。
「他のページも見たん…?」
圧が凄すぎ、また実際見てなかったのですぐに顔を横に振った。見てないです。
すると、拳で頭を軽くコツンと殴られる。
「人の物勝手に漁ったらダメやろ!」
「す、すみません。」
侵入の疑いがかけられた時も『コツン』くらいで許してくれたらよかったのに。
風呂に入ることを促されたので、すぐにその場を退いた。
もちろん、こっちに住む予定で来てるので色々持ってきている。全くもって問題ない。
…髪濡らしたトントンさんちょっと色気あってカッコよかったな、うん。
割と広いな、風呂。
持参してきたシャンプーや、トリートメントを取り出して髪の毛を洗う。
身体も洗い、久しぶりにさっぱりした。
しかし、やはり傷口は痛む。
シャワーなんかが当たったら、激痛が伴った。
それでも声を出してトントンさんに心配されないように、できる限り声は抑えて呻いた。
我ながら頑張って尽くすことができたのではないだろうか。
ドライヤーで髪の毛を乾かすと、ほんのりと甘い香りが漂う。
髪の毛の匂いって人が嗅いだ方が強く感じられるらしい。それってどうなんだろう。
ブラシで髪の毛を解き、はらはらと落ちていった数本の髪の毛をまとめてゴミ箱に捨てた。
…なんだか1つ1つの行動に緊張する。
嫌だな、この感覚。
【トントン】
…まさか見られてないやろな。
と、何度も何度も日記を確認する。日記を見たって何の意味もないのに、無意味に無意味に続ける。
その行為がおさまると、深呼吸を1つ。
そして。
「すまんな…A。」
そっと呟いた。
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時