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【鬱大先生】
「トントン。」
「は?」
グルッペンのようにトゲのある返事をしたAちゃん。
まあまあ、と手で制して呼吸を整えた。
にやけを必死に抑える。
「明日、トントンの軍服着て、見つからんように城内一周してや。」
Aちゃんからは嫌悪感が滲み出ている。
しかし、一方で頰はほんのりと赤く。…へえ、かわええやん。
「…なんでトントンさんなんですか。」
…鋭いとこつくやん。
まあ、強気で返事したったらええだけやろ。
「なんや、僕のヤニ臭いジャケット羽織りたかったん?」
何も言わずに黙り込むAちゃん。
…まさか知らないだろう、あのゲームは先攻で一定の数を言っていけば必ず勝てるということを。
可哀相に。
「じゃあ、これで。Aちゃん明日頼んだで。
…見つかってどうなっても知らんからなぁ。」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべてみる。
「…っ、無責任!」
ぷぅっと頰を膨らませて訴えるAちゃんがどうしても可愛く見えてしまい、余計に期待が高まった。
もう、試合には勝ってしまった。あとは、勝負に勝てるかどうか…。
ま、この感じやと完勝やろ。
自分だって、彼シャツ姿の女の子なんかみたら襲いたくなる。…え、それは俺だけ?そんなこと言わんといて…!
いつのまにか、Aちゃんは挨拶を済ませて席を立っていた。
自分はと言うと、少ししか手をつけていないスープをすすっていた。
【A】
明日が憂鬱で仕方ない。最悪、最悪だ、もう。
なんでよりによってトントンさんの軍服を…!
周りの人たちに、変な気があると思われたくない。
…つまり、私が見つかるべきではない相手はトントンさんだけではない。
この国の幹部やメイドら、全員だ。
「…はっ、無理ゲー。」
失笑。
これに尽きる。
しかも、見つかったら確実にトントンさんに怒られる…!!勘弁!!勘弁願う!
…『トントンさん』で、ふと、思い出した。
トントンさんは前に徹夜してまで仕事をしていたが、自分は何か手伝えないか、と。
これは、住まわせてもらっている身としての細やかな恩である。
…しかし、仕事の仕方…要は、書類の処理の仕方がわからない。
トントンさんに聞いても時間を割くだけだし…。
「…我らが総統様に聞いてみるか。」
そんな適当な呟きをし、総統室へと足を運び始めた。
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時