#１５ ページ15
と、いうわけで。特に断る理由も見つからないのでダイニングルームへ。
すると、白い塊とスープが出てきた。
ん？これは…！
「こ、これ、米じゃないですか！すごい…本でしか見たことない…。」
「おん？ああ、そうか。お前の国は主食パンか。」
「よくわかりましたね！」
２人で『いただきます』と口を揃えて挨拶をする。
この風習は同じようだ。
あまりの美味しさに、つい黙って食べてしまう。トントンさんがいることも忘れて。
「美味いか？」
「とっても。」
簡単な返事をし、また食べ進めた。
キリのいいところまで食べて、トントンさんに話したいことを思い出した。
「そういえば、トントンさん。」
特に何も口にせず、首をかしげるトントンさん。
「日記の『弱らせてから』って、なんですか？それ以降読んでないんですけど、家畜でも飼ってるんですかね。」
牛とか？
もしそうだったら、農場体験をしてみたい。
なぜか？楽しそうだから、一択。
しかし、トントンさんの顔は少し険しくなってから、にこやかになった。
「ちゃうちゃう、敵国の観光客を地下牢で拷問する話や。」
「へえ、なるほど。…ちょっと胸がざわつきますねこれは。」
「…なんや、今すぐここで粛清したってもええんやで。観光客なら。」
「イエ、エンリョシテオキマス。」
トントンさんの圧にしっかりと負けた。
初めて食べた米は、とても美味しかった、うん。また食べたいねこれは。
あとこの塩気の強いスープも美味しい。
…ここの生活も悪くはないかもしれないな。
でも、トントンさんの部屋にいつまでも居座っているわけにもいかないんだ、ここはさっさと逃げた方がいい。
たまに向けられる笑顔が、どれだけ私の残った良心を痛めつけていることか。いっそのこと捨て去ってやりたい、こんなもの。
と、２個目の米の塊に手を伸ばした時だった。
「隣ええ？」
「あっ、どうぞ。」
えっとこの人はたしか…。
「ゲッ、大先生やん。」
そうそう、鬱大先生さん。
城に入った時に２番目に襲われた人だ。
この人が１番優しそうに見えて、よくわからない。
「あのときはすまんな…。Aちゃんを殺す気はなかってん。…どっかの冷血漢と違って。」
あっ、察し。
鬱大先生さんはニヤリと笑って反対側に視線を送った。
「誰が冷血漢や。しばくぞ。」
「ああん、とんち怖い。」
私は何を見せられているんだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…！！ (2019年10月8日 19時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして！好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます！ (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
月 - 好きすぎる！ (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
有 - 夜飴月／黄泉月さん» はい！楽しみに待ってます！ (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2019年1月18日 20時
