【w/r/w/r/d/!】誰が妹だこんちくしょう【毒素】

傘 ページ35

３人で買い物をした帰り。


『これは雨に降られたなぁ…。』


空は曇天、けれどそこから垂れる雫は間違いなく雨。

しかし、傘を持って来たのは認めたくはないが有能であるトントンただ１人だった。


「…どうする？」


『２人で相合傘したら？』


「そしたらお前が濡れるだろうがよ。」


ちゃんと考えてくれるのグルッペン優しい。

でもそんなこと言ってたら全員濡れて帰る羽目に。


「とりあえず、相合傘するんやったらAに傘は持たせんことが決定したな。」


『ん？なんで？』


「お前の背丈やと俺らの頭まで届かんやろ、本末転倒やで。」


『滅べ、背伸びしてでも届かせるから。』


トントンの身長いじりが日に日に激しさを増している。

なに、また身長伸びた？

でも、困ったように見上げてみれば頭を優しく撫でられる。

…いや、子供扱いされてるだけだなこれ。


「まあ、さっきのトントンの現実的な案は採用するとして。どうする？」


「うーん、せやな。入れるのはせめて２人やろ？Aは入れるとして…グルさん入る？」


ん？


『ちょっと待って？私入れる前提なの？』


「…なんや、入れて欲しくないんか？」


いえ、入れて欲しいですありがとうございますトントンさん。


「まあ、どちらかが入る、というのが普通の考えだが、どちらも入らないという争いを避ける方法もあるぞ。」


「おん、じゃあそれでいこか！」


『えっ、マジで？私だけ得じゃん。』


困惑している最中、トントンが自らの折りたたみ傘をこちらに渡す。

早く取れ、とでもいうように見下ろす。

恐る恐る手に取り、微笑んでみる。


『…ありがと。』


「どーいたしまして。」


「ほら、早く帰って飯にするぞ。」


２人がいて本当によかった…！

そんな喜びを胸に、傘を開く。

…そのとき。


《バギィッ》


そんな鈍い音が聞こえる。

えっ、待ってよこのいい話展開でこんなことある？


『あの…トントンさん。』


「…音でなんとなく察したけど、言って、どうぞ。」


『傘が…折れました。』


「ははははは！！！おまっ…そんなことあるか！？」


グルッペンそれな。

トントンは笑顔を浮かべるが、目は全く笑っておらず、圧でいっぱいだった。


「…とりあえずA、家に帰ったら覚えてろよ。」


『は、はいぃっ！！』


完全に粛清ルートを辿る私。

雨は３人を等しく濡らした。

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