【w/r/w/r/d/!】誰が妹だこんちくしょう【毒素】

旅行券は誰の手に ページ27

毎年行われている、町内会の福引。

ティッシュかトイレットペーパーでも貰えたら、２人とも私がいかに有能か分かってくれる！

そんな気持ちでガラゴロと。

すると、鐘の音が辺りに響く。


「おめでとうございます！！一等のドイツ旅行ペアチケットです！」


お兄さんの声で、周りの主婦やら子供やらがおおっ、とどよめく。

え、マジですか、いいんですか！？




『…というわけで。当たっちゃいました！！』


ジャーン、と効果音をつけてチケットを２人に見せる。


「えっ、マジで！？」


「３人で休日楽しめるな！」


いや、グルッペンさんそれが…。


『これ…ペアチケットだから。１人行けない…。』


その場の空気が凍りつく。

誰もが「スネ夫みたいなこと言うなよ…！？」と混乱していた。

すると、２人の自己アピールが始まる。


「ま、まあ僕は大抵のことはできますし？あと、高いところにあるものをAの代わりにとれるんやで。」


『チビって言いたいの！？』


必死になって否定してくるけど、そのときも常に上から目線だから悲しくなる。

…まあ、グルッペンもトントンとたいして身長差無いからね。


「俺はドイツ語が話せるぞ！後は…ど、ドイツ語が話せるぞ！！」


『大切なことだから2回言ったんだね…。』


なんだか可哀想になってきた。

２人はさらに争い合う。

久しぶりに見たな…２人がこんなに熱くなってるの。

うーん、そんなに行きたいんだ。


『２人で行ったら？』


「バカ！おま…それだと意味無いやろ！」


「…なんか変なところで鈍いんだな。」


は？

いいじゃん２人で行けば幸せじゃん。

…なんかまた反論されそうだしやめておく。

あっ。


『じゃあエーミールと行こ。』


「それだけはやめておけ！！絶対だ！！」


「あいつ童貞やからお前の貞操まで危ないぞ！」


『いやお前が言うなトントン！！』


思い切りブーメランが飛んだり返ってきたり。

結局夜になってもペアは決まらなかった。


…いや、もういっそのことティッシュでも当てればよかった。

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