彼氏。 ページ15
「なんかA、男臭いな。」
いや、お前が男だろ、という言葉を飲み込む。
現在、ショッピングセンターへの近道の路地裏。
ここを通る人なんて私たちしかいない。
まさか…と続けるグルッペンから目を背ける。
「彼氏という名の下等民族でもつくったのか?」
『おま、言い方!!』
「…否定せえへんってことは。」
…クッソ、どうせ逃れられない道なんだ。
こいつらを乗り越えないと私に春は来ないッ!
『ええ、そうですとも。彼氏ができました。大学の同期、河瀬君です。』
「ほう…。それで、別れる見込みは?」
『ナッシングです。』
別れる見込みとか頭腐ってる。
しかし、2人は足を止めて私を引き止めた。
「別れた方がええと思うで…どうせ金をふんだくるだけふんだくられて捨てられるだけや。」
『やめて。妙に生々しいのやめて。』
トントンは「なるほど、生々しい話は苦手…と。」と呟き、なにやらノートに書き込んでいる。
説得ノートって書いてあるけどあれ何、デスノート!?
…だいたい。
『童貞のくせになにこっちの恋愛仕切ってんの。』
グルッペンは吹き出し、トントンからはピキッという音。
あっ、やっちまった。
そう感じたが、口は止まってくれなかった。
『キスもろくにできないような奴に語られたって説得力ないですしおすし?彼女しっかりつくってから言葉を述べよ。』
「ははははは!!だってよトン氏!!」
グルおま…笑いすぎ。
しかし、トントンから次の瞬間ダークオーラが放たれた。
えっ、何この空気。
例えるならば、アナキンがダークサイドに堕ちて、ダースベイダーになったような。
そうだ、堕天。
いつものトントンからは考えられないような雰囲気に満ちている。
『あっじゃあ私はこれで…。』
「待てよ。」
ひええっ。
ゴォオォォオオォォという効果音が似つかわしい。
「俺がキスしたことない、キスが下手っていつ決めつけた?」
『はわわわ、そんなあ、下手とまで言ってないじゃないですかトントンさん!!《ろくにできない》って言っただけですよ!!』
「ああ、これ逝ったな。A逝ったな。」
グルッペン助けてクレメンス!!
目で訴えるが、冷ややかな眼差しで「せいぜい足掻いていろ」とでも言うかのように笑う。
一方、トントンはそんなに大きくない路地で私に詰め寄る。
ここ最近で一番死期を悟った瞬間だった。
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - 有さん» 了解です。私も最近この小説が恋しくなってきた頃なので、今書いているtn小説が終わったら続きだします!! (2019年3月16日 12時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
有 - よし。続編出しましょうそうしましょう。てか出してくれるのを期待します最高です。ら (2019年3月14日 20時) (レス) id: 3b3f8a8c71 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 夜櫻さん» コメントありがとうございます。こちらこそ、リクエストいただいて本当に嬉しかったです!楽しみにしていただいていることを糧に次作も頑張ります! (2018年11月24日 0時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
夜櫻 - 夜飴月/黄泉月さん» お疲れさまでした!最後にツンデレ書いて頂きすごく嬉しかったです♪『何を書くか』それは私がつっこめることではないのですが次作も楽しみにしてます! ありがとうございました! (2018年11月24日 0時) (レス) id: c67cff5c66 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - シロ(shiro)さん» コメントありがとうございます。残念な思いをさせてしまい、すみません…別作品も読んでくださっていて、本当に嬉しいです。応援ありがとうございます! (2018年11月22日 23時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2018年10月23日 20時