褒美 ページ10
そうか、うーん。
『特に欲しいものはない。ただ、強いて言うなら早くこの場所から退きたい。』
グルッペンは不満そうに顔を顰めた。
改めて考えると、これが今の私が求めている、最大の褒美かもしれなかった。
しかし、グルッペンは椅子から立ち上がっていきなり私の腕を強く掴んだ。
少し、痛いくらいに。
gr「逃がさないと言ったら？」
そんな台詞を吐いてこちらを見下す。
咄嗟に竹刀を取り出そうとするが、両手を大きなその手でまとめられた。
『…っ、なんのつもり。離して。』
すると、さっきとは打って変わってさぞ楽しそうに北叟笑む。
gr「ちょっとくらい黙れないのか？」
その言葉が耳に届いた時にはもう、唇が触れていた。
逃げられなかった、この“魔王”から。
数秒たって、やっと今の立場と状況を理解し、手を動かす。
しかし、グルッペンの手の力は弱まることを知らずに、私の抵抗を無にした。
…かと思えばいきなり手を離し、その衝撃で私は後ろに数歩後ずさった。
gr「…顔が赤いぞ？」
『っ、誰のせいで！！』
軽く叫ぶようにそう放つが、グルッペンの言い草は確かで、反論の余地がなかった。
顔を思わず背け、あの顔を、憎い顔を見ないように、とひたすら考えた。
それでもあの時の感覚が蘇る。
gr「まあ、これでご褒美も終わったことだし、文化祭楽しめよ。」
グルッペンがいつものように語りかけてくるのにイラつく。
『何がご褒美だ…。』
そう呟いて教室を出てやった。
ふざけるな、ふざけるな。
そんな煮えたぎった怒りからか、それともさっきの底知れぬ羞恥心からか。
ひとらんと合流した時にまで顔が赤いと指摘されたのは内緒。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 206人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - れなさんさん» コメントありがとうございます、頑張ります！ (2019年2月17日 17時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
れなさん - ありがとうございます！更新頑張ってください！応援してます！！ (2019年2月17日 12時) (レス) id: 333c350adf (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - れなさんさん» コメントありがとうございます。全然大丈夫ですよ！それくらいならパクリの域には入りません。気軽にどうぞ！ (2019年2月16日 21時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
れなさん - いつも閲覧させてもらっている者です！この作品すっごく面白くて大好きです！！お聞きしたいのですが、私、新作を書こうと思っていまして、強気だけど耳とかが弱いって夢主ちゃんにしたいのですがお借りして宜しいですか？ (2019年2月16日 20時) (レス) id: 333c350adf (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - イムさんさん» コメントありがとうございます。応援ありがとうございます、頑張ります！ (2019年1月21日 21時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2018年10月22日 19時
