異議 ページ41
放課後。
指定された教室に入る。
ああ、朝は散々な目にあった。
em「ああ、Aさん。早かったですね。」
どうも、と適当な挨拶をして椅子に座る。
em「怒っているんですか？」
そう聞かれ、ええまあと返す。
怒っているというかテストが単純に嫌なのが分からないのか。
ま、まあ教授はほかの教師と比べて抜群に良心溢れた人だ。
「天然」というやつなのだろう、きっと。
em「では早速ですが…合格点は９０点です。」
『異議ありッ！！！』
思わず椅子を蹴り飛ばして起立する。
９０点が合格点？
馬鹿げている。
em「９０点に達しなかった場合、例の委員会、部活動停止に加え、私と一対一での完全補習が実施されます！」
何を嬉しそうに。
補習…考えただけでも身震いしてしまう。
そもそも、補習に呼ばれる時点で瑠美や、そのほかの友達らに馬鹿にされるのはみえみえだ。
…まあ、瑠美のことだから応援もしてくれるとは思うけど。
っとそうじゃない！！！
歴史の補習。
これそのものが恐ろしいのだ。
本来、委員会や部活に費やす長い長い時間。
それを全て歴史に？
冗談じゃない。
私は絶対に９０点をとらなければならない。
『…わかりました。ところで、ほかの生徒が見当たらないのですが。』
em「ああ、あれは嘘です。」
ニコッと微笑む教授。
ふざけるなよこのクソ先公が！！！
…つい口が悪くなった、訂正しよう。
『ふざけないでください、他にもいるんでしょう？』
怒りと苦しみで震える声でそっと尋ねる。
しかし、返ってきたのはいつものような優しい声色だった。
em「いえ、私とあなた、２人きりです。さ、テストを始めましょうか。」
ゾワァっと身の毛がよだつ。
配られたテストはかなりの難問が揃っているようで、問題全てを確認するのが怖かった。
em「それでは、３０分間測りますので。スタート。」
そう言って押されたタイマー。
チチッという小さな機械音。
全てが、私への死刑宣告へと変わった気がした。
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作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2018年9月28日 14時
